マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~

2010-08-23 10:19:27 | 映画ーDVD

ーヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ー

2009年 日本

監督=根岸吉太郎 原作=太宰治 脚本=田中陽造 キャスト=松たか子(佐知)浅野忠信(大谷)室井滋(巳代)伊武雅刀(吉蔵)広末涼子(秋子)妻夫木聡(岡田)堤真一(辻)

 

【解説】

2009年に、生誕100年を迎える文豪・太宰治の同名短編小説を、『雪に願うこと』の根岸吉太郎監督が映画化した文芸ドラマ。戦後の混乱期を背景に、道楽ざんまいの小説家の夫に振り回されながらも、明るくしなやかに生きていく女性の姿を描く。逆境の中でも活力にあふれるヒロインには話題作への出演が相次ぐ松たか子、太宰を思わせる小説家に『モンゴル』などで海外でも評価の高い浅野忠信。さらに室井滋、伊武雅刀、妻夫木聡、堤真一ら豪華共演陣が脇を固める。

 

【あらすじ】

戦後の混乱期、酒飲みで多額の借金をし浮気を繰り返す小説家・大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)は、夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため飲み屋で働くことに。生き生きと働く佐知の明るさが評判となって店は繁盛し、やがて彼女に好意を寄せる男も現れ佐知の心は揺れる。そんな中、大谷は親しくしていたバーの女と姿を消してしまい……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

まず、思ったことは映像の美しさでした。

複雑な深い色が、人々の心象をよく表現できているなあ、と思いました。

 

この作品はタイトル通り、作家の大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)が主人公です。

相変わらず、松たか子がうまいです。

とてもきれいな日本語を話すのですが、上品で嫌みがなく、さすがに梨園の人だなあと思いました。

 

☆ネタバレ

佐知は、極寒の冬に火の気のないような貧乏暮らしなのに、行きつけの飲み屋からお金を奪って逃げて帰った夫に対しても、追って来たのみや夫婦に対しても、冷静さを失わないしっかり者です。

 

彼女は元の彼氏(堤真一)にも尽くした末に、彼のために万引きまでした過去がありました。

そのとき情けをかけてくれた大谷と結婚、一児をもうけます。

 

彼女のその一途さが、ダメ男を引き寄せるのでしょうか。

夫は、バーの女(広末涼子)と心中騒ぎまで起こしてしまうのです。

でも、彼女は流されることなく、自分の母性を失わず、しかも夫への愛を貫きます。

 

飲み屋で働き始めた佐知を迎えに来た大谷と、ねんねこにおぶった子供と一緒に帰る帰り道、佐知が「私はいま幸せです」と言うと、大谷は「女には不幸も幸せもない」と言います。

佐知が「男には?」と聞くと「不幸しかない」と答えました。

佐知は「私は親子3人で暮らせることが幸せだ」と言います。

 

ここが、この作品の素敵なところでした。

男は観念の世界で苦しみもがいているのに、女には現実しかないところ。

よくわかるよね。

 

心中されて拘置所の夫に会いに行った佐知「愛なんて感じられない」と泣く。

夫と心中した女とすれ違ったときに、女が勝ち誇ったような笑顔を見せる。

それで、勝ち気が出たのか、元カレに弁護を頼む。

 

元カレで、今は立派な弁護士になっている辻を、大谷の不始末の尻拭いを依頼したために訪ねるシーンで、パンパンの女性から口紅を買って、口紅を塗って会いに行くシーン。

なんか、女の心意気を感じました。

 

行く場所がなく戻って来た夫を追いかけて、「私たちは生きていさえすればいいのよ」と言って、そっと手をつなぐ佐知。

佐知は、この先もこのダメ夫の面倒を見て行くのでしょうね。

 

「愛」というには、あまりに重い「生命」を支える母の力強さを感じましたが、皆さんの感想はいかがでしょうか?

 

私は、佐知の成長物語として描かれているところに、この作品への共感を覚えました。

 

広末涼子さんの演技もなかなかよかった。

浅野さんは、太宰そのものに見えました。

うまいねえ。

 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶり! (NAKAちゃん)
2010-11-21 08:32:47
本当 お久しぶりに私の中のお気に入りページを開いたら ここ8月。3ヶ月もご無沙汰していました・・・
浅野さんが 太宰治だと思って観ていました。
私には理解できない世界だと・・・笑!
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NAKAちゃんへ (マダムよう)
2010-11-21 10:58:10
そんなにご無沙汰でしたか?

いままで、ダメ男に出会わなくてよかったわ。笑!
佐知みたいな出会い方だと、こうなったのもわかる感じがするわ。
私はこの映画、面白いと思いました。
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