マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

シティ・オブ・ゴッド

2006-06-30 20:58:38 | 映画ーTV
2002年フェルナンド・メイレレス監督 アレクサンドル・ロドリゲス 、レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ 、セウ・ジョルジ 、アリス・ブラガ 、ダグラス・シルヴァ

<解説>
ブラジルのスラム街に生きる少年たちの姿をパワフルに描いたドラマ。監督はこれが日本初登場となるフェルナンド・メイレレス。共同監督はカチア・ルンヂ。脚本はこれが初長編となるブラウリオ・マントヴァーニ。原作はパウロ・リンスの同名ノンフィクション小説。出演は、本作で長編映画デビューとなる多くの新人たち、「セントラル・ステーション」のマテウス・ナッチェルガリほか。2002年マケラシュ映画祭監督賞、同年アメリカン・フィルム・インスティテュート映画祭観客賞、同年ハヴァナ国際映画祭9部門など受賞。

<あらすじ>
1960年代後半、リオデジャネイロ郊外に新設された公営住宅シティ・オブ・ゴッド。そこに住む強盗の青年カベレイラ(ジョナタン・ハーゲンセン)は、弟分リトル・ダイス(ドグラス・シルヴァ)の考案したモーテル襲撃事件がもとで、警察に銃殺される。70年代に入り、他の街に身を隠していたリトル・ダイスは、リトル・ゼ(レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ)と改名し、シティ・オブ・ゴッドを乗っ取るために戻ってくる。

<感想>
「ナイロビの蜂」のフェルナンド・メイレレス監督作品。
私はすごく面白かった。
でも、面白がっていてもいいのか?
事実を基にした物語。
まるでドキュメンタリーのように撮られているが、そこにはすごく計算されているカメラワークがある。
ひとつひとつのシーンに細かい情報がいっぱい含まれている。
残酷なシーンを残酷と感じさせない。
非情を描いていても、一人一人の人生やシチュエーションをすごくきめ細かく説明してくれる。
しかも、言葉ではなく映像で。
何人の人生が描かれたのだろう。
すごい映画だなあ。

まず、主人公ブスカペ。シティオブゴッドと呼ばれるスラムで育った。
兄は、ギャングでモーテル襲撃事件の果てにリトル・ゼに殺されている。
彼自身はジャーナリスト志望で、それが彼が悪の道へ行くことの歯止めとなっている。
次に、リトル・ゼ。
彼は幼い時から、人を殺すことに会館を覚え、もはや人間と呼べるものではない。
こういう悪人がどうして生まれるか、この映画は教えてくれる。
モーテル襲撃事件で悪の道への地固めをする。
その親友ベネ。
リトル・ゼに人間らしいところがあるとすれば、このベネの存在だ。
ベネは悪党でも、みんなに愛されている。
ベネに恋人ができ、この世界から足を洗うお別れ会に、たくさんの人が集まり、彼の門出を祝ってくれたが、リトル・ゼの命を狙うものによって、誤って撃たれ、非業の死を遂げる。
最後に、男前のマネ。
シティオブゴッドからまっとうな方法で外の世界へ出て行くことを考えている真面目なバスの車掌。
しかし、リトル・ゼに恋人をレイプされ、叔父と弟を殺され、家まで蜂の巣にされて、リトメ・ゼの対立相手セヌーラと組み、結局ギャングになってしまう。
自分でも意識せずに、銀行のガードマンを殺してしまい、その息子から仇と狙われて結局、彼に撃たれて死んでしまう。
恨みが恨みを呼ぶ典型。

抗争の結果は、セヌーラとリトル・ゼは逮捕されるが、リトル・ゼは警察もお金で手名付けていたため、開放される。
でも、自分が育てて、武器まで支給したガキ軍団に蜂の巣にされて死んでしまう。
シティオブゴッドはリトル・ゼジュニアたちが銃を振り回しながらはしゃいでいる。
ブスカペはリトル・ゼ死亡の写真を撮って、ジャーナリストへの道を歩み始める。

もちろん、この映画の根底には、貧困、無知、麻薬、暴力などの問題があり、それを避けては通れない。
でも、そういうのがあって当たり前の世界の話。
いいとか、悪いとかではなく、この町には当然のごとくあるんです。
それでも、人は生きていかなくてはならない。
監督はいろんなケースをたくさん、観客に提示したかったんだと思う。
「ナイロビの蜂」でもそうだったけど、人類は人間性の喪失という、すごい深みにはまりかけているんじゃないだろうか。
何一つ解決策を見いだすことなく、映画は終わってしまった。
すごく、面白かったけど、面白いという感想は不遜な気がする。

判決前夜~ビフォアアンドアフター~

2006-06-30 20:52:31 | 映画ーTV
1995年バーベット・シュローダー監督 メリル・ストリープ 、リーアム・ニーソン 、エドワード・ファーロング 、ジュリア・ウェルドン 、アルフレッド・モリナ

<解説>
殺人事件の容疑者になった少年を軸に揺れ動く家族の姿を描くサスペンス。ロゼリン・ブラウンのベストセラー小説『判決前夜』(邦訳・新潮文庫)を「羊たちの沈黙」「陪審員」のテッド・タリーが脚本化。監督には「運命の逆転」「死の接吻」のバーベット・シュローダーがあたった。

<あらすじ>
ニューハンプシャー州の静かな町、ハイランド。小児科医のキャロライン・ライアン(メリル・ストリープ)は、自分の勤務する病院に運びこまれた少女の死体をみて驚く。彼女は17歳の息子ジェイコブ(エドワード・ファーロング)のクラスメートのマーサだったのだ。彫刻家である夫ベン(リーアム・ニーソン)とジェイコブの妹ジュディス(ジュリア・ウェルドン)が待つ家に帰宅したが、車があるのにジェイコブの姿がみえない。そこへ地元の警察署長が来訪し、なんとジェイコブがマーサ殺しの容疑者だというショッキングな事実を伝える。

<感想>
日本でも、思春期の少年の起こす犯罪が目立つが、この主人公も17歳。
その朝も父親とひどい喧嘩をして家を飛び出していった。
血の付いた手袋やジャッキをみつけて動転する父親。
息子を助けるために証拠を隠滅してしまう。
潜伏していた友達の家から息子は逮捕され、裁判の闘い方を巡って父と母の意見は対立、一家はバラバラになってしまう。
確かに、事実はひとつだけど、父親の盲目的な愛と責任感が、息子を追いつめ、母も苦しめる。
結果は、観客の思いに近いところに落ち着いてヤレヤレだけど、こういう状況になったら、果たして親はどういう態度を取るか、難しい問題だと思った。
この一家は、もう一度愛と信頼を取り戻せるだろうか。

メリル・ストリープが自制的な母親、リーアム・ニーソンが激情型の父親、エドワード・ファーロングがナイーブな息子。アルフレッド・モリナが野心溢れる弁護士を好演していました。

オスカー・ワイルド

2006-06-30 20:46:32 | 映画ーTV
1997年 ブライアン・ギルバート監督 スティーヴン・フライ 、ジュード・ロウ 、ヴァネッサ・レッドグレーヴ 、ジェニファー・エール 、マイケル・シーン

<解説>
文豪オスカー・ワイルド(1854-1900)と彼が愛した美青年との禁断の愛を綴った伝記ドラマ。

<あらすじ>
1885年。文豪オスカー・ワイルド(スティーヴン・フライ)はコンスタンス・ロイド(ジェニファー・エイル)という女性と結婚。母親エスペランザ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)は誇らしげだった。子供にも恵まれ、円満に見えた結婚生活だったが、ロバート・ロス(マイケル・シーン)という青年により同性愛の味を教えられたワイルドはその道に耽溺するようになる。ボジーことアルフレッド・ダグラス卿(ジュード・ロウ)と出会い、恋に落ちる。気ままな青年のボジーは彼の愛情に甘えて身勝手をし放題。さらにボジーの父親クインズベリー侯爵(トム・ウィルキンソン)はオスカーにつきまとい嫌がらせをする。オスカーはクインズ相手に名誉毀損の訴訟を起こすが、反対に同性愛の罪で十郎殿桂に処された。出所したら、最後まで自分を愛してくれた妻は他界。しかし、オスカーのボジーへの恋慕は止みがたく、ボジー時のいるイタリアへ。ふたりはその後3カ月生活を共にしたがついに別れた。1900年、ワイルドは梅毒による脳髄膜炎で死去。ボジーは1945年に亡くなった。

<感想>
私は「幸福の王子」のお話が大好きです。
自己犠牲の美しいお話。
その他、「理想の女」の原作になった「ウィンダミア卿夫人の扇」や「サロメ」の原作者。
彼が、同性愛者として獄中につながれたという話も有名です。
彼が愛したのがジュード・ロウ扮するボジーと言う貴族の息子。
この映画を見て、ボジーに真実の愛なんかあったんだろうかと疑問に思いました。
結局、芸術家の見果てぬ夢、美学だったんじゃないかなあ。
そう思うと、彼を愛して彼が獄中にある間に亡くなった妻が哀れでした。
映画の写真が見当たらないので、ジュード・ロウの写真を掲載します。
中年男を欺く美貌と笑顔。
うーん。