カンボジアの地方 30 カンポットの塩田

カンボジアの地方 30 カンポットの塩田   金森正臣(2006.9.10.)

写真:今は雨季の最中(5月から11月が雨季)のために塩造りは進んでいない。一面ただの水田の様に見えるところが、塩田。満潮時に海水を引き入れ、止めて水分が少なくなるまで待つ。その後また海水を引き入れて、同じ行程を繰り返す。次第に塩分濃度が高まったところで、今度は乾燥するまで待つ。ゆっくりと塩分が結晶する。煮詰めたのとは違って、大きな結晶が出来る。これの表層を掻き集めて、左に見える建物に収納する。訪れたのは、8月6日であるが、小屋の中は塩でいっぱい。扉も開けられないほど詰め込んであった。乾期だとこの塩田の中のあちこちに、塩を掻き集めた小山が出現する。

 天然の塩は、海水のニガリを含んでいる。このため潮解性があったり、結晶に核に微塵を含んでいたりして扱いにくい面もある。日本で天然塩と言っているものとは、およそ違っている。日本の物は精製されていることもあるだろうが、ゆっくりと時間をかけて造られた塩は、結晶が大きい。水に溶かすと、微細な塵が浮く。使うときには、飽和状態まで水に溶かしておいて上部の塵を取り、水溶液を使用する。中国料理の塩を水に溶かしておいて使う感覚。

 料理に使ってみると、塩加減の幅が広い。かなり薄くてもしっかりした味になる。また入れ過ぎたくらいでも、ひどく塩辛くは感じないまろやかさがある。ニガリが強いので、日本的な澄まし汁などには向かないと言う意見も聞くが、私はあまり気にしていない。野菜の塩漬けも、結構美味くなる。

 昨年オーストラリアの西半分を車で走った。中央を縦断するアデレードからダーウィン(南北に走る)の荒地の中で、幾つかの塩の湖に遭遇した。この塩は、雨の度に溶解して流れ出したものが、湖に溜まり。水分が蒸発して塩が析出したものであるから、かなり癖はあるが、海の塩とは異なった感じがした。料理に使って、美味いのであるが、味は異なる。アリススプリングスからは、野菜を茹でたり、スープの味を調えたり、かなりお世話になった。東アフリカのタンザニアでは、岩塩が出るところがあり、一度溶かして再結晶したものを売っている。直接岩塩も手に入るが、味は似たようなものだ。オーストラリアの塩湖の塩の味は良く似ている。オーストラリアを訪れた目的は、アフリカと続いていた時代の名残を求めて、北部のキンバレーあたりのバウバウを見て歩いた。塩の味も意外に似ていて起源が同じであろうことを連想させた。

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