カンボジアの地方 27 地方の農家

カンボジアの地方 27 地方の農家    金森正臣(2006.8.29.)

写真:スバイアンバルの倉田さんのコショウ園の入り口にある農家。いかにも貧しく見えるが、農家としては最低な方ではない。判断の基準は、屋根にトタンの波板が使われているし、壁にも多少板が使われている。スイギュウも2頭の親と子どもが1頭生まれている。
 トタンの波板も壁の板も、自分では作れないから買わなくてはならない。貧しくても現金収入が多少はある家ではある。

カンボジアの農家は、現金収入が少なくかなり貧しい。それでも幾つかの貧しさの段階がある。最も貧しいのは、ウシも居ないし、屋根も壁もヤシの葉などの身近な材料で自分で作る。その上になると、壁が板になったり、屋根が長持ちする瓦やトタン板になったりする。更に良くなるとウシを飼い、繁殖させて子牛を売り、多少余裕が持てる。カンボジアでは、ウシ車も農耕作業も2頭立てで行う。貧しくなった状況を「ウシが1頭しか居なくなった」と表現することもある。
更に良くなると、壁も板になり、アヒル、ニワトリ、ブタなど様々な家畜を飼って、現金収入を得られるようになる。こうなると新たな土地を得て、農家を拡大することも出来る。

写真の家は、ウシが2頭居るが、荷車は無かったから、農耕に使っているだけかもしれない。最も荷車を持っても、かなりの田舎なので、運ぶ仕事は多くないかもしれない。

カンボジアでは、米は非常に安い。精米したものが市場で、1kgで2,000リエル(0.5ドル)程度である。10kg買っても600円程度。農家で籾殻付だとその半分ぐらい。なんともならん。しかし自分たちが食べるためには、あまり事欠かない。でも、トタンを買ったり、板を買ったりにはいささか不十分。豚が80kg程度で、1頭農家の庭渡しで、100ドルと言うから、この様な収入がないと、トタンや板の購入は難しい。

貧しいけれども、それが直ぐに不幸と同居しているかと言えば、それは別問題。日本の現金収入の豊かな家庭よりも、ギスギスしていなくて、おおらかに見えることが多い。何よりも何かにつけて、心から笑っている様な瞬間に出会うことが多い。家族の関係も決して悪くは無い様に観察される。協力してよく働き、お互いを思いやっている様子が伝わって来る。本来家族の関係は、経済力とはあまり相関が無い。
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