プノンペンの風景 17 タバコ売りのおばさん

プノンペンの風景 17 タバコ売りのおばさん    金森正臣(2006.9.5.)

写真:街角でタバコを売っているおばさん。前に置かれた袋の中の両切りタバコを、フィールター付きタバコに作り変える作業をしながら、タバコを売っている。左手前には、包装を解いた両切りタバコを沢山置いている。

 両切りタバコ2本を、長いフィールターで繋ぎ、外側をフィールター色の紙に糊を付けて巻く。しばらく干してから、糊が乾くと、長いフィールターの中央をハサミで切ると、2本のフィールタータバコが出来上がる。両切りタバコより少しは高く売れるようになるのだろう。最近は健康志向が、カンボジア人の中にも浸透しつつある。いっその事、禁煙まで行くといいのだが、そこまで決心できない人も多い。

 タバコの嗜好性は、かなり習慣性が強い。人にもよるであろうが、私などは禁煙して20年以上してからも、よく吸ってしまった夢を見た。もともとタバコが好きなところは、父親譲りで、非常に好きなタイプなのであろう。紙巻タバコを吸い始め、物足りなくなって、キセルタバコ、パイプの刻みタバコ、葉巻とエスカレートした。パイプも葉巻も、肺まで吸い込まないと物足りなくなって、ついには咳が止まらなくなった。だから1度止めて以来、決して手を出さないようにしているのであるが、夢には良く出てきた。酒を飲んでついタバコを吸った夢である。禁煙して初期には、かなり頻繁に見たが、次第に夢を見る間隔が長くなった。もうこの15年ぐらいは、夢を見ないから卒業できたのかもしれない。

 このおばさんは、毎日街角で、朝7時頃から一日中タバコ売りをしている。脇には、箱入りのタバコのショウケースがあり、箱売りもしている。しかし大部分は、1本ずつのバラ売りの商売である。1日にどの程度の稼ぎがあるのであろうか。以前に、タンザニアでチンパンジーの調査をしていた頃、毎年自動車で首都から3-4日をかけて、奥地の調査前進基地の町に入った。その街道筋で、机を作って売っている村があった。毎年道路わきに机を並べて、その上で売り子が寝そべっていた。あるとき一緒に調査に行った友人に、彼は一日中あそこに寝そべっているのだろうと話しかけた。友人が答えて曰く、いや一生あそこに寝そべっているのだろうと言った。
 このおばさんも、一生ここで商売して居るのかもしれない。

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