はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

開会式を見て

2015-04-11 10:22:07 | はがき随筆
 選抜高校野球大会の開会式をテレビで見た。選手たちが入場行進を始めたら、私の心も躍り始めた。宣告までデレーッとしていたのがうそのようにシャキッとなり、心のモヤモヤも吹き飛んでいった。
 毎日コンクール1位の女子高生が透き通るように美しい声で「君が代」を歌い上げた。選手宣誓の力強い声が天高く、グラウンドいっぱいに響き渡る。
 最近、ささいな事でふさぎ込み、投げやりになりがちだった。希望に満ちた選手たちの顔を見ていたら、元気が出て前向きに生きていきたいと思った。
  鹿児島市 馬渡浩子 5015/4/9 毎日新聞鹿児島版掲載

私の新聞遍歴

2015-04-11 10:12:27 | はがき随筆
 子供の頃から、ある新聞社一筋だったが、十数年前、政府寄りの色が濃くなった。その頃、鹿児島市の石橋撤去問題や県の食料費不正支出が浮上し、別の社のT記者が気骨のある記事を書いていたので、T記者のいる新聞を購読する事態に。しかし、T記者が転勤すると、やはりその新聞は肌に合わない。
 たどり着いたのが、毎日新聞だ。当時の防衛庁取材で受賞したり、科学環境部の記者ら頼もしい女性たちが大活躍している。人間味ある福岡賢正記者も私のお気に入り。右っぽい印象の記者が反原発を唱えるのも面白い。ずっと付き合えたらいい。
  鹿児島市 種子田真理 2015/4/8 毎日新聞鹿児島版掲載

入園式

2015-04-10 16:27:13 | アカショウビンのつぶやき

アカショウビンが理事として関わっている、
信愛幼稚園は、認定こども園「信愛子どもの園」としてスタートすることになり、入園式を迎えました。
心配したお天気でしたが、明るい空にホッとしました。
会場では、徳子先生の美しいピアノの音色が響いていました。


入園式はとっても賑やかです。
ママー ママーと泣きじゃくる子もいます。


新入園児の紹介では、元気なお返事ができました。


泣く子、ぐずる子が、静かになるのは、
先生方の「みんなでたのしく」の時間です。
涙を拭きながら、見入っていました。
さすが先生方! お見事でした。





園長先生やPTA会長さんのお祝いの言葉をいただきました。


在園児のお兄さんお姉さんの、お迎えの歌と、お迎えの言葉です。
いつも徳子先生の指導で歌っている園児たちの声は素晴らしい!
誰かが言いました。
「ウイーン少年合唱団」みたい…と。


よく頑張りましたね。退場です。



入り口には、美しいお花とお祝いの言葉が、貼られていました。

元気で楽しい園生活がスタートしますよう。アカショウビンも祈っています。

  by アカショウビン

恋の季節

2015-04-08 21:44:13 | はがき随筆


 「鳥が来た?」と必ず来客が聞く。妻の依頼でモクセイの木に巣箱を掛けて5年になる。「ないも来ん。しじゅうカラじゃあ」と言うとも皆大声で笑う。
 最近、巣箱の入り口の径を22㍉にすべきだと知り、改築しエゴの木にかけ直した。エゴの実を器用に割って食べるシジュウカラをよく見かけたからだ。
 「お父さん、来てるよ、来てる!」とささやく妻。「敷金も家賃も要らんど! 入居者には手当をくるっど!」と私。鳥たちの恋の季節が来たようだ。もう何組も下見に来る。
 「早いもん勝ちやっど! きっと来なさいねシジュウカラ」
  出水市 中島征士 2015/4/7 毎日新聞鹿児島版掲載

重機の解体技術 感心

2015-04-08 21:35:08 | 岩国エッセイサロンより
2015年4月 7日 (火)

  岩国市   会 員  片山 清勝

 向かいの家が新築のために解体された。重機による解体作業は、一挙に取り崩す荒っぽい作業だろうと思っていた。ところが、間近で眺めてみると、大きな思い違いに気付いた。
 重機が解体する箇所をしっかりつかむと、操縦者はそれをゆっくりと引き寄せる。つかんだ箇所だけが取り除かれ、その周辺まで大きく崩れることはない。
 どの箇所も同じように解体が進む。そこには、計算された手順が操縦者の頭にあるように思えた。土ぼこりが立ちこめる光景を予想していたが、裏切られた。
 解体した残骸は、重機で木材や金属などの種類ごとに分類していく。崩れた土壁の中に埋没している木片まで重機で拾い出す。
 その仕分けのスピードや処理する量は、人の手ではとてもかなわない。 重機は強力な粉砕力だけでなく、人の手に引けをとらない細かな仕分けもやりこなす。重機と操縦者の一
体感を感じ、作業を見飽きることがなかった。
 知っているつもりや、先入観の怖さを反省し、観察することの大切さを強く認識させられた。

    (2015.04.07 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

地方創生の議論を

2015-04-06 21:32:23 | ペン&ぺん
 任期満了に伴う県議選が3日告示された。鹿児島は多くの島を抱え南北600㌔と広大だ。争点は何だろう。川内原発稼働や人口減少、少子高齢化に伴う地方創生への取組だろうか。各選挙区にはそれぞれの問題があるだろう。読者の皆さんも1票に託す思いがあるはず。投票日の12日は地域の声を県議会に届ける絶好の機会であり、県議は伊藤県政をチェックする重要な役目を負っている。県議に限らず市町村議も、我々が納めた血税を有効に使ってもらうため、首長や行政を注意深く監視してほしい。
 若者の政治離れが叫ばれて久しい。棄権した青年に理由を尋ねると「1票で社会や世の中が変わるとは思えない」「政治に何も期待できないから」――といった答えが返ってくる。若い有権者にそんな考えを抱かせた大人たちの責任は重い。
 例えば、人口約10万人の私の古里。子供の頃、にぎわった商店街はシャッター通りに。あれから40年、今も若者は職を求め市街、県外へ。鹿児島と同じ課題を抱える。行政は今までどんな対策を示し、市議や県議らはどんな議論をしてきたのか。残念でならない。
 たかが1票、されど1票。投票することで、候補の氏名や所属政党、公約、主張が分かる。自分が推す候補が当選しなくても、有権者の考えがデータになって現れる。与野党の立場があったり、思想、心情が異なっても知事や国会議員、首長、首相らが誠実なリーダーであれは、必ず少数派の声に耳を傾けるはずだ。
 古里の高齢になる親の介護、学校の統廃合、早く道路を整備してほしい。街づくりもどんなビジョンがあるのか、もっと知りたいな。古里で起業したいが、どんなサポートがあるのか――など、安倍政権が掲げる地方創生に待ったなし。名前の連呼ではなく、具体的な施策を聞きたい。私は転勤族だが、棄権はしない。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2015/4/6 毎日新聞鹿児島版掲載

スマホ春愁

2015-04-06 16:04:05 | はがき随筆
 見知らぬ番号から携帯に電話が入った。出てみると、孫の声で「私、スマホを買ってもらったの」と得意そうに話している。「えっまだ小2なのに」。戸惑っていると母親に代わり、「家族割りで安かったので買ってやりました」と。孫の話では、持つには学校の許可が要り、決まりもあるという。
 それにしても、スマホを介したいろいろな事件が報道されている。子どもの言いなりに早々と与えてと思ったが、言えなかった。息子夫婦の子育てに口出しはしないと決めてはいるが、もんもんとした思いはなかなか消えない。
  出水市 清水昌子 2015/4/6 毎日新聞鹿児島版掲載

イースターおめでとうございます。

2015-04-05 16:28:48 | アカショウビンのつぶやき
 4月5日は、キリスト教の祝日、イースター(復活節)です。
クリスマスは、多くの方に知られていますが、イースターはクリスマスと並んで、大切な祝日です。

イースターの語源は、「東East」です。太陽が東から登り、地上に光をもたらすように「義の太陽:キリスト」が復活して全ての人々に永遠の命をくださった記念の日です。



教会では、カラフルに色づけされた、イースターエッグをさし上げました。

イースターエッグは、動かない卵から新しい生命が生まれ出ること。生命や復活を象徴するものとして、昔から卵が使われてきたようです。

友からの電話

2015-04-05 16:19:04 | はがき随筆
 友人から携帯に電話があった。福岡の精神科に来ているという。彼女の声は低い。
 福岡在住の息子さんが病院を予約し、やむ無く受診することになったと、ご立腹の様子。理由は同じことを何回も話すから検査した方がよい、と一方的だと話す。親の健康を気遣う息子さんの気持ちもわかるけど、彼女の怒りには事前の話し合いが必要だったようだ。
 翌日、検査の結果は異常なかったと、彼女の明るい声が届いた。人ごとではないこの年を思う時、今、健康であることに感謝し、友と幸せな気持ちで旅でもしようと約束した。
  鹿児島市 竹之内美知子 2015/4/5 毎日新聞鹿児島版掲載

ユーモア礼賛

2015-04-04 21:38:20 | はがき随筆
 子供の頃、近所に愉快なおじさんがいた。
 ある日、自転車に乗った青年が通りかかり、庭にいたおじさんに道を尋ねた。両足を地に付けた姿勢で。すると、くだんのおじさん「いっ時待て」と言うと、自分の自転車を持ち出してきた。その青年と同じポーズを取って、
「どこよ」。
 青年は慌てて自転車を降り、「駐在所はこん道を行けばよかとけな?」「真っ直ぐいけ」。
 今思い出しても楽しい話でクスリと笑ってしまう。青年はこの短い会話で、きっとエチケットを学んだに違いない。
  鹿屋市 門倉キヨ子 2015/4/4 毎日新聞鹿児島版掲載

内視鏡検査

2015-04-04 21:17:09 | はがき随筆
 お腹がグルグルいつもと何か変。そのうち下痢、一日に何回も。食欲は有るし、熱もなし。漢方薬をもらい、しっかりと効いた。けれども再び以前のような下痢じゃないけれど、何か変。内視鏡検査で観察のみ。「ポリープがあったら次にします」。検査食の味はどんなだったかな? そして、下剤前の時は最後の方はトイレの中で飲んだな~。「下剤は家で飲んでもいい」と言われた。8年前とは違った。心配ばかりしてたのがうれしい。ポリープでも、がんでも医師に任せる覚悟で「あんなに薬ものんでるのにきれいな腸です」。胃の時も合格、今度も。
  鹿屋市 三隅可那女 2015/4/3 間日新聞鹿児島版掲載

親の心子知らず

2015-04-04 21:08:00 | はがき随筆
 遠い昔、Gパンにリュックサックを背負って40日間の旅に出た。フランスからギリシャまで足を延ばし、リフレッシュして帰って来た。
 その夜、「枕カバーが洗濯してない」と母を責めた。母は朴の花のようにほほ笑んで言った。「もしもの時のために、あなたの匂いを残しておきたくて」と。海外旅行が日常時でなかった頃、戦場へでも送り出す覚悟をして娘を旅立たせた母。「親の心子知らず」。思いも及ばなかった深い親心に絶句した。
 今は亡き母と同じ愛を注いで子育てをしただろうか。自らに問う夜がある。
  鹿屋市 伊地知咲子 2015/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載
 

ようこそ鹿児島へ

2015-04-04 20:40:39 | ペン&ぺん


 チュニジアの首都チュニスにある国立博物館が襲撃され、外国人観光客ら23人が凶弾でなくなったテロ事件。更に、フランス南部の山中で機体が粉々になって見つかったドイツ旅客機墜落事故。世界で悲惨な事件が相次いでいる。どちらも犠牲者の中に日本人が含まれていた。遺族の胸中を思うと「なぜだ」と強い憤りを隠せない。読者の皆さんも、いや私だって被害に遭っていたかもしれない。
 1995年3月20日、東京で起きた地下鉄サリン事件。猛毒の神経ガスを使った同時多発テロで13人が死亡、数千人が負傷。20年前、私は鹿屋通信部の記者だった。ニュースを見て、東京にいる親戚や知人らに片っ端から電話をかけ続けた。死者、重傷者に家族や知り合いがいたらどうしよう……。誰もが心を痛めた無差別テロ。宗教や主義、主張が異なるからといって、人を殺すなんて決して許されない。ドイツ機の事故も副操縦士について様々な報道があるが、徹底した真相の究明が待たれる。なんの関係もない他人を巻き込む行為はもうこりごりだ。
 死者57人、行方不明者6人を出した御嶽山(長野・岐阜県)の噴火から半年。これも昨年9月の行楽シーズンに起きた。まさかの惨劇だった。
 3月29日、鹿児島市の甲突川沿いで多くの人が桜を楽しんでいた。午後3時すぎ、桜島の噴煙が空高く上がった。今年に入り、桜島が活発になっている。過去の歴史を見れば分かるように、桜島のエネルギーはすさまじい。県民なら誰もが知っている。警戒や対策を怠らないようにしたい。
 4月だ。進学や就職などで心機一転、鹿児島で新生活をスタートさせる人も多いはず。桜島の降灰は時にやっかいだが、でもそこは「桜島あっての鹿児島」。明治という新時代を開いた先人や歴史。自然を学び、鹿児島を体感してほしい。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2015/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載

初恋

2015-04-04 20:32:28 | はがき随筆
 僕の初恋は、中学2年の始業式の日に突然やって来た。
 当日、1人の若い女性教師に僕はくぎ付けになった。小顔で美人でスレンダー。名字は「入佐」。幸い、僕たちの音楽担当になったが、話すチャンスがない。そこで嫌がる友人を連れて職員室に行った。いろいろ楽典を質問していると、隣の先生が「高橋、先生が好きなんだろう」と言われた途端、体中の熱いものが一気に顔めがけて噴き上がってきた。後はどうやって部屋を出たか、今でも思い出せない。
 4月、始業式のニュースが報じられると、思わず口元がほころぶ僕がいる。
  日置市 高橋宏明 2015/4/1 毎日新聞鹿児島版掲載

無情

2015-04-04 20:14:01 | はがき随筆


 庭のハクモクレンは樹齢40年を超してかなりの大木である。毎年、3月になると、一面を白一色に包み、見事に咲く。ところが、これが我が家の「憂きごと」の一つになっている。
 庭には種々のツバキや梅があるが、モクレンは1本である。来訪者の誰もが見上げて賞賛してくれる。いつまで咲いているのだろうか。気になるのは、寒の戻り。明日の最低気温は何度になるのだろうか。全てが咲ききった記憶がない。モクレンの花びらほど霜に弱いものはない。
 「やっぱり!」、昨夜の遅霜で無情にも黒く……。あ―、春のこころはのどかではない。
  志布志市 一木法明 2015/3/31 毎日新聞鹿児島版掲載
写真は一木さんのブログことだま日記より