はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

傍観者になるな

2015-04-22 20:27:15 | ペン&ぺん
 まさか、長崎市長選も無投票とは――。統一地方選第2ラウンド(後半戦)で県内は枕崎、阿久根、垂水の3市議選が19日告示され、いずれも選挙戦がスタートした。21日は2町長、5町村議選が告示されるが、今のところ、選挙となりそう。候補はそれぞれの地域が抱える問題や将来のビジョン、活性化策などを訴え、有権者も候補の考えを精査できる機会だ。
 今地方選首長、議員選そろって全国的に無投票が多くなっているのが懸念されている。投票率の低下と政党が候補補擁立できないのも心配。現職に対抗馬を立て、論戦を展開できるパワーや政策、人物が地域にない、いないのは残念。鹿児島と並ぶ全国屈指の観光地・長崎なのに。被爆地・ナガサキで自分こそが市のトップとなって、核廃絶や世界平和を訴えようと志のある人は、いなかったのだろうか。 会社の専売だからではないが、山田孝男・特別編集委員の本紙コラム「風知草」(20日付)を読まれただろうか。現筆再稼働と裁判所の判断についての考えを述べ、更に九州電力川内原発の運転差し止めの仮処分申請に対する決定が22日、鹿児島地裁で出ることを紹介している。
 全国版の日ラムで取り上げるということは、それだけ全国から注視される裁判所の判断なのだろう。コラムに「そもそも、厳罰再稼働を高唱する資格は、自宅に核廃棄物を受け入れる人間にしかない」とあった。私はこの4行にくぎ付けになった。フクシマ、チェルノブイリ(旧ソ連)などの原発事故で古里に住めなくなった人たちの思いや事故からの警鐘が理解出来ずに、傍観したままでいないだろうか、と。
 原発も統一地方選も決して人ごとではなく、やはり身近な私たちの問題として受け止めたい。傍観者をやめ、22日は当事者として真剣に原発問題を考える日にしたい。
  鹿児島支局長三嶋祐一郎 2015/4/21 毎日新聞鹿児島版掲載