はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

高速でのパンク

2011-12-30 11:59:15 | はがき随筆
 夜7時半頃、薩摩川内を出て横川から宮崎自動車道で車を走らせていた。高原インターの手前でタイヤがパンク。トランクを開けて三角標識を取り出し、車の後方に設置した。大型トラックが通るので恐怖感が先に立った。タイヤ交換中に後続車に追突された事故のニュースが頭をよぎる。車内にいると、パトカーがとまり、危ないから車から降りるように指示された。JAF到着まで1時間と伝えると、断るように言われ、交通誘導とタイヤ交換をしてもらった。10分ほどの早業。高原インターまで誘導してもらい、高速隊の対応に感激した。
   薩摩川内市 石原修 2011/12/19 毎日新聞鹿児島版掲載

安全運転

2011-12-30 11:05:46 | はがき随筆
12月も中旬になり急に寒波。その前は残暑が長く続いて秋はつかの間。春と秋が長ければいいのにと、つしみじみ思う。そして、コタツが出てストーブが大きな顔をする季節。老い一人の暮らしは、なかなかである。少しずつ慣れてきたつもりだが、そんな単純ではない。まだ現役なので昼は仕事。以前は仕事が続いたら、風呂を浴びて晩酌していたが、何が起こるか分からないので断酒。一人の夜も安全運転を決めた。
 そのことが健康管理と事故の予防にもいい。人生、車に乗らない時も酒をやめて安全運転でいきたい。
 志布志市志布志町 小村豊一郎 2011/12/19 毎日新聞鹿児島版掲載

ムカゴ飯

2011-12-30 10:53:27 | はがき随筆
 夏には気づかなかった垣根に山芋のツルがからんでいたのか、黄葉してムカゴの存在を知らせた。早速ザルを持って葉脈についたムカゴを取ろうとすると、ぽろぽろ落ちる。ふと垣根の奥に置いた榾木を見ると、傘の厚いシイタケがついていた。いながらにして秋の味覚にありつける。
 傍らの木を見上げると、柿が赤く熟れて秋空にさえて美しい。夕餉に炊いたムカゴ飯、独特の風味は素朴で野趣豊かな味であった。それにしても植えた覚えのない山芋。小鳥が運んだのか。何かに紛れて根付いたのか。ありがとう。
  出水市 年神貞子 2011/12/19 毎日新聞鹿児島版掲載

ダリア

2011-12-30 10:43:58 | はがき随筆
 昔、村のはずれに牡丹が咲いた。そこにダリアが生まれてきれいな花畑となった。秋になると大小さまざまな菊が咲き誇り花畑を覆い尽くした。牡丹やダリアたちは泣く泣く地中深く潜り、来春を待つしかなかった。
 しばらくして、花畑の中程に1本のダリアが芽を出した、群がる菊の花をかき分け、秋風にざわめく菊たちを尻目に上へ上へ伸びていった。ダリアはついに菊の何倍もの高さに育ち大輪の花を咲かせた。その姿は、まさに花畑の王者だった、人々はダリアをたたえて「皇帝ダリア」と呼んだ。
  鹿児島市 高野幸祐  2011/12/19

「俳句の審査員」

2011-12-28 17:43:17 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月28日 (水)

    岩国市  会 員   中村 美奈恵

小6の息子の参観日は国語だった。秋から冬を季語に俳句を詠んでいる。親たちはそれらの中から好みの作品を選ぶことになった。紅葉したモミジが揺れる姿を「フラダンス」。さなぎになったミノムシを「ミノムシふとん 巻いている」と比喩がうまい。

中でもヒガンバナを「地面から出た花火」とした俳句は、ヒガンバナの赤い花弁が輝きを放つ花火に見えて、私は迷わず「ナンバー1」と書いた。

感性豊かになった帰り道、息子に作品を問う。するとにっこり笑って「冬になり ストーブ出して まるくなる」

(2011.12.28 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載

はがき随筆11月度入選

2011-12-27 21:38:49 | 受賞作品
 はがき随筆11月度の入選作品が決まりました。
▽出水市大野原町、小村忍さん(68)の「背伸びした夢」(1日)
▽同市緑町、道田道範さん(62)の「博士」(22日)
▽志布志市志布志町内之倉、一木法明さん(76)の「お陰さま」(4日)

──の3点です。

 小説家の海音寺潮五郎忌で大口に行きました。北薩の初秋の風物を愛でていると、市役所の人に、「でも寒いですよ」と言われました。来訪者と生活者との感覚の違いに思い至りましたが、それでも、澄んだ空気を満喫して帰って来ました。
 今月も、季節の推移それに老後の生活を内容としたものが、目立ちました。
 小村忍さんの「背伸びした夢」は、光を失った方の音楽会を成功させようという、身の丈をこえた夢の実現に向けて頑張った挙げ句、夜中に悪夢にうなされたという内容です。ご自分の背の低さを背伸びした夢に結びつけた書き出しの意外性が面白く、また夢の多様性が生きています。
 道田道範さんの「博士」は、野菜売り場の店先で、ご婦人方に大根の漬物の作り方を教授していると、大根が売り切れただけでなく、翌日には漬物博士絶賛のレシピとして、広告に使われたという飄逸な内容で、文章のこの軽みがいいですね。
 一木法明さんの「お陰さま」は。他力へ感謝しての生活態度の感謝ですが、それが抹香臭くなく、日常茶飯事として書かれているところに説得力があります。私も、人は生かされているという信念で描かれる、東山魁夷の日本画が好きです。
入選作の外に3編を紹介します。鹿児島市錦江台、岩田昭治さん(72)の「私の生き方」(5日)は、現役生活の時は何かと多忙であったが、感謝の気持で回顧している。さて、今からの生活をいかに送るか、……。誰にとっても、自分の老いとどのように和解するかは、大問題ですね。
 同市城山、竹之内美知子さん(77)の「母に似て」(13日)は、外反母趾だった母親の足に自分も似て来たという内容です。亡き人の思い出は、何がきっかけになるか分かりません。
 鹿屋市串良町上小原、門倉キヨ子さん(10日)は、秋の訪れは、初めは背後から忍び寄り、やがて正面からやって来るという表現がすばらしい。ところが今年はいきなり真正面からやって来たので、慌てている。それでもムカゴご飯を楽しめたという内容です。
  (鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)

「続けるぞ」

2011-12-27 21:09:36 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月27日 (火)

岩国市  会 員   片山 清勝

京都に住む孫へ手作り新聞を送り始めて10年になる。きっかけは平仮名を読み始めたという嫁のメールで、孫とコミニュケーションを図ろうとパソコンで作り始めた。日々のたわいないことをデジカメ写真と一緒に載せる。やり始めたら面白くて、今では月刊になった。ファイルをめくると、成長の跡が残り、その折々のことを思い出す。

大きな患いもなく、今日まで育ったことが何よりの喜びだ。孫は中学1年生。素直で優しい今のまま成長してほしい。「このまま作り続けて」。10年に際して孫からのメール。うれしい一言。目が潤む。

(2011.12.27 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

年々歳々

2011-12-27 20:58:36 | ペン&ぺん
40年。
福島第1原発1~4号機の廃炉を終えるまでに要する年数だ。政府と東京電力が21日に了承した工程表に盛り込まれた数字は、幅があって30年から40年とされた。
 しかし、記者会見した細野豪志原発事故担当相は「達成にはさまざまな不確定要因があり、現時点では言い切れない」と話しており、40年以上かかる可能性もある。さらに廃炉にかかる費用は工程表には明記されなかった(22日の本紙朝刊)。
 記事を読んで改めて思った。原発が事故を起こしてしまった場合、時間的にも金額的にも想像以上に膨大なコストがかかることを。
  ◇
 20年。
 事故を起こした原発の廃炉に要する年月の半分で人は成人とみなされ、大人として扱われる。
 年明けに成人式を迎える人への記念冊子「成人おめでとう」を毎日新聞西部本社販売開発部(093・521・0668)が販売している。A4判で52㌻。580円。
 内容は過去20年間の主な出来事を報じた紙面を縮刷し掲載したもの。1991年の雲仙・普賢岳(長崎)の大火砕流、皇太子殿下ご成婚、95年の阪神大震災、04年のアテネ五輪など。今年3月の東日本大震災まで続く。
 10年ひと昔というが、20年間という年月の長さを改めて示しているようでもある。
  ◇1年。
 今年もあっという間に年末を迎えた。毎年のことながら、印刷した年賀状を前に、筆が進まない。とりわけ大震災の被災地に住む友人知人あてに、なんと書くべきか思い悩む。
 県内でも出水市での鳥インフルエンザ禍や霧島・新燃岳の噴火など災難が起きた1年だった。
 「来年こそ、平穏な年に」。思いを新たにする年の瀬だ。
  鹿児島支局長・馬原 浩 2011/12/26 毎日新聞掲載

「よんち」

2011-12-26 11:31:30 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月26日 (月)

    岩国市  会 員   吉岡 賢一

出先の妻から「炊飯器のタイマー入れるの忘れた。スイッチ入れといてね」と電話。おっ、またか。そう言えば最近、トイレの電灯消し忘れも目立つようになった。あのしっかり者でさえ、年相応に来る時が近づきつつあるのかなと心配する。

 かたや「おれの携帯知らんか、ちょっと鳴らしてみてくれ」「この前、買ってきたあれはどこに置いたかのー」などと似たもの同士のかばい合いは続く。

 「お父さん、しっかりしてよ、認知と認知で『よんち』なんてシャレにもならんよ、ハハハ」と豪快に笑う。いつまで、こうして笑っておられるんじゃろう。

(2011.12.26 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載

Merry Christmas

2011-12-25 22:03:05 | アカショウビンのつぶやき
クリスマスイブはどのようにお過ごしになりましたか?
きっと素敵なクリスマスイブだったことでしょう。

アカショウビンは、教会のクリスマス祝会に参加しました。



クリスマスの賛美歌をいっぱい歌いました。

クリスマスのメッセージを聞き、
鹿屋市で活動するただ一つのゴスペルグループ
「鹿屋プレイズシンガーズ」の皆さんの素晴らしいハーモニーを楽しみ、
鹿屋教会のハンドベルリンガーズ」の演奏を
(チョッピリ寂しい思いで…)聴きながら、イブの宵を過ごしました。





前日は祝会の準備でした。



まるで、お菓子屋さんのよう…。



小さなプレゼントですが、皆さんが喜んでくださいました。

そしてアカショウビンにもプレゼントが届きました。



娘からいつものように可愛いお花。





姪っ子から、美味しいチョコレートが届きました。

そして25日はクリスマス礼拝

この世に平安をもたらすために生まれた
神の子イエス様のお誕生をお祝いしました。

世界中で大きな災害に見舞われ、
日本では東日本大震災の悪夢が消えやらぬときのクリスマス。
被災者のお一人お一人に
神様の慰めがありますようにと祈りました。



聖歌隊のコーラスです。

地には神の平和がありますようにと祈りつつ歌いました。


「息子が大学で就職の体験談」

2011-12-24 10:26:00 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月23日 (金)

  岩国市  会 員   中村 美奈恵

 13年春の新卒採用を目指す大学3年生の就職活動がスタートした。昨年より2ヵ月遅れの始まりに、学生たちは不安を感じているのではないかと案じている。  

4年生の息子の就職活動は昨年秋に始まった。紺色のスーツで企業説明会に出向いた。仕事のやりがいや待遇面を考え、志望企業は慎重に選んだ。履歴書には大学で学んだこと、スーパーのアルバイトや吹奏楽団で得たことを書いた。面接では「今日はなぜそのネクタイにしましたか」など不意の質問に戸惑ったこともある。説明会と面接の日程が重なり、どちらの企業を選ぶか迫られたこともあった。学業よりも就職活動に重点を置いた末に、内定の知らせが届いたのは初夏だった。

そんな息子が大学の就職ガイダンスで体験を話すことになった。「不採用になったとき、どう気持ちを立て直したか」を話したいという。就職活動中はさまざまな葛藤があっただろう。体験をしっかり伝え、後輩にエールを送ってほしい。

  (2011.12.23 毎日新聞「みんなの広場」掲載)岩國エッセイサロンより転載

新年への思い、粘土に練り込み

2011-12-22 15:24:58 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月22日 (木)

 岩国市  会 員   片山 清勝

友人に誘われて陶芸教室へ通い始めて4年になる。毎年、最後の作品は翌年のえとの置物を作ってきた。丑、寅、卯の3体がそれぞれ玄関で守り神として我が家を見守ってくれた。

来年のえとは辰。私はその辰年生まれで年男である。12年前は定年間際で、仕事で失敗しないよう気を引き締めたことを思い出す。今年は東日本大震災をはじめとする自然災害や、東京電力福島第1原発事故に見舞われた。個人的には秋にがんの切除手術を受け、生まれて初めて入院した。そんなこともあり、来る年の安泰を願って今年最後の作品も辰に決めた。

辰は難しい。どう立体的に仕上げたらよいか知恵を絞る。ふと、年賀状の準備で下書きを済ませていたタツノオトシゴをモチーフにした壁掛けを思いついた。新しい年への思いを粘土に練り込んだつもりだ。完成までには素焼き、色付けと続く。えとの焼き物作りは、十二支がそろうまで頑張って続けたい。

(2011.12.22 毎日新聞「みんなの広場」掲載)岩國エッセイサロンより転載

とうとう…

2011-12-21 23:00:30 | アカショウビンのつぶやき
「折れてますよッ」
「エッ…まさか」
「ほら、見てごらん」
医師が指さすレントゲン画像、右手人差し指付け根に小さな白い影。

僅か1㌢の段差につまずき、膝を強打して、そのまま前方のネットフェンスにこぶしをぶつけたらしい。
最初は人差し指の突き指かな? という感じだったが、腫れた右手に当てた保冷剤はたちまち溶け、ありったけの保冷剤で10時間も冷やし続けた。

翌日は痛みも和らいだが、人差し指が動かない、ちょっとでも動かすと飛び上がるほど痛い。24日にはハンドベル演奏が控えているし、念のためにと整形外科に行った。

「ギプス固定で3週間だね」
「あぁぁぁ」

なんで一年中で一番忙しいときに…。
でも誰のせいでもない、自分の不注意なんだもの。

ハンドベルどころか、箸さえ握れない私。
今日は、ご近所さんの温かい差し入れを感謝していただきました。

「転ばないでよ」といつも周りの皆さんに言われ続けているのに
「また、やっちゃったー」と報告しなきゃならないアカショウビンです。

という次第で、左で操作するマウスの難しさ。
頭が混乱するので、しばらくブログお休みします。






身にしみる言葉

2011-12-21 23:00:14 | はがき随筆
 10年前、当時毎日ペンクラブ事務局長だったNさんの薦めで、はがき随筆会員となって以来。夢中で書き続け仲間や愛読者の温かい励ましをいただき人生の喜怒哀楽の情をつづり息子たち家族へ随筆を通じ書き残すことができ、どんな証しよりもうれしいことです。
 しかしこの度、節目と考えていた10年を区切りとし「筆を折る」胸を御世話になったNさんへ伝えると「人生はこれから。書き続けなければ。やめたらダメよ」と喝が飛んだ。
 短い言葉であったが、胸のつかえがおり、迷いが解け、新たな思いがこみ上げた。
  鹿児島市 鵜家育男 2011/12/19 毎日新聞鹿児島版掲載

思いがけぬ贈物

2011-12-21 22:32:14 | はがき随筆
 とうとう11月6日。企画したコンサートの日が来た。
 私は主役のSさんの手を、舞台の中央までゆっくり引く。気のせいか、彼の緊張が伝わってくる。まず、Sさんの演歌「兄弟舟」。聴衆は、息をのんで見守る。終わった途端、会場は大きな拍手に変わった。彼はにこにこ。
 秋の行事が多い中、約80人に聴いてもらった。……よかった。
 私はSさんに出会ったお陰で「はがき随筆」のペンクラブ賞を受けた。Sさん、思いがけない贈り物をありがとう。
  出水市 小村忍 2011/12/18 毎日新聞鹿児島版掲載