はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

新年への思い、粘土に練り込み

2011-12-22 15:24:58 | 岩国エッセイサロンより
2011年12月22日 (木)

 岩国市  会 員   片山 清勝

友人に誘われて陶芸教室へ通い始めて4年になる。毎年、最後の作品は翌年のえとの置物を作ってきた。丑、寅、卯の3体がそれぞれ玄関で守り神として我が家を見守ってくれた。

来年のえとは辰。私はその辰年生まれで年男である。12年前は定年間際で、仕事で失敗しないよう気を引き締めたことを思い出す。今年は東日本大震災をはじめとする自然災害や、東京電力福島第1原発事故に見舞われた。個人的には秋にがんの切除手術を受け、生まれて初めて入院した。そんなこともあり、来る年の安泰を願って今年最後の作品も辰に決めた。

辰は難しい。どう立体的に仕上げたらよいか知恵を絞る。ふと、年賀状の準備で下書きを済ませていたタツノオトシゴをモチーフにした壁掛けを思いついた。新しい年への思いを粘土に練り込んだつもりだ。完成までには素焼き、色付けと続く。えとの焼き物作りは、十二支がそろうまで頑張って続けたい。

(2011.12.22 毎日新聞「みんなの広場」掲載)岩國エッセイサロンより転載