家近くの交差点。公民館から一本の木が斜めに伸び、横断歩道手前に、影を落とす。夏は信号待ちの人々がほっとする一畳ほどの木陰だったが、建物の建て替えと共に姿を消した。
ふる里の駅から海までの1㌔の道。途中、川があり、橋のたもとに石碑と大きい松が2本。夏、海に行く村の子たちは、この木陰で休み、また歩く。海水浴客で満員のバスが土ぼこりを立て、追い越していった。
あの木も数十年、立派に人の役に立ち、道路整備で消えた。少年の日、あの松にうるさいほど鳴いたセミの声は、今は私の右耳に棲む。
宮崎市 柏木正樹(73) 2022.10.8 毎日新聞鹿児島版掲載
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