今を去る30年ほど前にその戦いは始まった。いえ薩摩と長州じゃなく薩摩と長野の文化戦。
始まりは白みそと赤みそ。薩摩の白みそに対し家内は長野の赤みそ。激しい口論が毎日……。やっと和解したと思いきや絹と木綿に飛び火。夫の木綿に対し絶対に豆腐は絹と言い張る長野。戦いは双方とも疲労に負けて休戦模様。
しばらく小康状態が続くも昔、薩摩になかった豆腐で再燃。今度は黙って食卓に納豆を出し、黙々と手のついていない納豆を下げる家内の戦術。決裂も妥協もできない薩摩夫の解決策、納豆は嫌いで収束させた。
鹿児島県 湧水町 近藤安則(66) 2020/5/15 毎日新聞鹿児島版掲載