「お母さんが歩ける内に」と最近娘たちが仕事の合間にあれこれ計画をたててくれる。今回は蛍狩り。行き先は古里、田野町の八重という集落。案内して下さるのは何と都会から移住されたというSさん。私より古里のことに詳しくて恐れ入った。
辺りが暗闇に包まれ、かじかの合唱が響き渡る頃小川の岸辺でピカッと光った。「来た!」と大声を挙げた私。それを合図に黄色の光の乱舞である。古来人の魂にもなぞらえられる蛍の光。古里にこんな蛍狩りのスポットがあったとは……。日常を忘れ幻想の世界を愉しんだ。
娘たちに感謝の蛍狩りの夜。
宮崎市 松尾順子(86) 2018/7/6 毎日新聞鹿児島版掲載