小3の時転校してきた美恵子さんにその日、私は三角定規を貸してあげた。友だちになりたかったのだ。長い年月を経て彼女は今、私の習字の先生である。とある文化教室の広告に彼女の名前をみつけ10月、早速見学に行ったところ、書道誌の手本まで手がけている師範だったので驚いた。彼女の指導は聞いていて楽しい。リズミカルな筆運びでぐーっと伸びたり縮んだり、まるで器械体操のようで心地よい。子どもたちも魔法の言葉に乗せられて真剣だ。私のくせ字も次第に品のある字に変身するのだろう。この年で良い先生に巡り会えて感謝、感謝だ。
鹿屋市 田中京子(58) 2008/12/12 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿屋市 田中京子(58) 2008/12/12 毎日新聞鹿児島版掲載