はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

モクセイの咲くころ

2007-11-11 17:48:46 | はがき随筆
 10月18日の母の忌日には、庭先にある樹齢百年のギンモクセイが毎年、花を咲かせる。今年は残暑が長かったせいか、なかなか花をつけなかった。
 ところが二,三日したら急にモクセイの香りが流れてきて、たちまち満開になった。そして夜半に雨が降ったせいか、今朝は淡いきいろの花が庭一面に散り敷いて、かんばしい香りを流している。
 この花が咲くといつも母を思い出す。あまり孝行しなかったので、せめて墓参りだけはと思い、欠かさずつづけている。モクセイは私にとっては忘れることのできない秋の花である。
   志布志市 小村豊一郎(81) 2007/11/11 毎日新聞鹿児島版掲載