風のまだ冷たい春の海。
「はぎはら みきこ」。弟が砂浜に大きく私の10歳の娘の名を書いた。
娘、三希子も棒を拾ってきて、自分の名を書いた。そしてすぐに、「かまだ まさつぐ君」と、大きく私の弟の名を書き、急いで「はぎはら ゆうこ けんざい(健在)」と書いて、ニヤリと笑った。
弟も笑い、私も笑い、娘も笑いころげた。波が、ざぷーん、ざぶーんと大きく音を立てて、そんな私達の人生を応援しているよ、と言ってくれたように感じた。砂の上の3人の名は仲良く、しばらくそこにあった。
鹿児島市 萩原裕子(54) 2007/5/1 毎日新聞鹿児島版掲載
「はぎはら みきこ」。弟が砂浜に大きく私の10歳の娘の名を書いた。
娘、三希子も棒を拾ってきて、自分の名を書いた。そしてすぐに、「かまだ まさつぐ君」と、大きく私の弟の名を書き、急いで「はぎはら ゆうこ けんざい(健在)」と書いて、ニヤリと笑った。
弟も笑い、私も笑い、娘も笑いころげた。波が、ざぷーん、ざぶーんと大きく音を立てて、そんな私達の人生を応援しているよ、と言ってくれたように感じた。砂の上の3人の名は仲良く、しばらくそこにあった。
鹿児島市 萩原裕子(54) 2007/5/1 毎日新聞鹿児島版掲載