母を「たまゆらさん」と呼ぶ人たちがいる。私が高1の時に放送された「たまゆら」は当時大人気。母はテレビのある知人から物語のあらましを聞き、しょけ売り先の山奥で語り回る。川端康成原作、散髪屋の奥様の口伝、語りは母ヨツ子の3人合作の「たまゆら」は、放送と全く別物の物語に発展する。それでも、テレビの無い山村の婆ちゃんらに大好評。お陰で商いも順調に。調子に乗った母は、放送終了から1年も物語を延長した。この方たちが、母を「たまゆらさん」と呼ぶゆえんである。ちなみに母は、このテレビ放送を一度も見ていない。
出水市 道田道範(57) 2007/5/11 毎日新聞鹿児島版掲載
出水市 道田道範(57) 2007/5/11 毎日新聞鹿児島版掲載