10年前、娘夫婦が父の日に贈ってくれた杖を突いて散歩に出た。裏山を通ると小鳥の囀りを聞きながら杖を休ませ、新鮮な空気を心ゆくまで吸っていると、娘のことが脳裏に浮かんだ。その娘も定年が近づく。高齢になっても親子の関係。民家の路地を通ると、どこの庭にも春花が満開。正に平和の証だ。北支で終戦。翌年5月3日、自作のリュックを背負い、哀れな姿で佐世保に上陸。帰郷した。今は朝5時に起き、新聞を楽しむ。毎日新聞日曜くらぶの「スクリーンの向こうから」を読み感涙。ひめゆりのような悲劇はもうご免と後世に伝えたい。
姶良町 谷山 潔(80) 2007/5/8 毎日新聞鹿児島版掲載
姶良町 谷山 潔(80) 2007/5/8 毎日新聞鹿児島版掲載