はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

晩秋の思い

2006-11-25 08:51:37 | はがき随筆
 足早に時が流れていつか晩秋の季節。夏の暑さも、冬の寒さもなく、落ち着いた季節ではあるが、何となく寂しい。
 コスモスが散って、代わりにあちこちを黄色に染めて石蕗の花が咲く。たそがれてくると、青い空が霞んだように灰色となり、風の冷たさが心にしみる。傾いた太陽が西空を赤く染め静かに沈んでゆく。やがてつるべ落としの夕日。
 わずかに残照が映えてやがて闇。私は好きだが寂しい。自分の心を見つめて生きてゆかねばと思う。明日もまた朝日が昇ることを信じて……。
   志布志市 小村豊一郎(80) 2006/11/25 掲載