kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

トヨタと日産

2020-04-09 04:09:09 | 日記
8日の東京市場は予想外の大幅上昇でした。3日続伸の後でしかも
米国市場の引け味の悪さから言って寄り前は軟調な展開も予想され
ました。上値目途は精々1万9000円程度との見方でした。やはり
信用買い残高が3週間で凡そ6100億円減少したことや期末を通過し
たことで決算対策売りも出づらく需給面の軽さが要因かもしれませ
ん。

本格的に戻り売りが出る水準はおそらく2万円を越えたあたりでし
ょう。世界の株式市場も一時の総悲観から立ち直りつつあることも
援軍です。しかし海外の短期筋の買いが主導ですから上げも下げも
一方通行になることには注意が必要です。

トヨタ自動車は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ顔を覆う医
療用フェースシールド(防護マスク)を愛知県内の工場で生産する
など医療現場の支援に乗り出します。まずは週500~600個ほ
ど生産し医療現場に提供していくということです。

自動車メーカーのトヨタにとって医療用品は畑違いの事業です。し
かも生産量から考えればトヨタの業績寄与にはほとんどゼロに近い
数字でしょう。それでも日本最大の製造業であるトヨタは社会全体
のことも考え政府に協力する形で生産に乗り出すのでしょう。

コロナショックは多くの産業や企業に大きなダメージを与えるでし
ょう。景気敏感株という位置付けのある自動車業界も影響度の大き
さは上位クラスでしょう。財務や収益力の高いトヨタだからできる
ことです。

先日の報道でもトヨタは新型コロナウイルスの感染拡大が事業に与
える影響が長期化しかねないとして最大で3000億円の社債発行枠を
登録しました。部品一つの供給が止まっても自動車生産に支障をき
たします。

19年12月末で約6兆円の手元資金があり財務格付けも日本企業では
有数の高さです。それでも多額な社債発行枠を設けたのはトヨタ本
体だけでなく、グループ各社や取引先の経営悪化への対応も想定し
ているからです。

サプライチェーンでも日産が1月の武漢閉鎖で国内生産がストップ
したのに対してトヨタへの影響はほぼありませんでした。日産がコ
スト最優先で部品調達の中国依存度が高くなった一方トヨタはコス
トだけでなく有事のサプライチェーンの維持も含めた対策を取って
いました。

トヨタ、フォルクスワーゲンに続いて日産連合(ルノー+三菱自動車)
が1,000万台クラブに加わったのは2017年でした。当時はグローバル
競争に勝ち抜くには1000万台という規模が欠かせないという風潮があ
りました。

確かに装置産業であり100年に一度の変革期を迎え研究開発費が膨れ
あがるとみられている自動車メーカーは規模の拡大が必要だという見
方は正しいのかもしれません。しかし連合を組むなら強者連合でなく
てはなりません。生産台数が最優先され収益力がついてこない企業連
合は弱者の集まりに過ぎずかえって今回の危機の時のような状況では
機能しません。

数年前日本を代表する大手自動車メーカーの一角という評価もありま
したが、日産は既にコロナショック前から経営危機一歩手前という状
態でした。両社の差は国内での知名度以上に大きそうです。
コメント
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