『紙のなんでも小事典』

2010-10-22 10:53:30 | 本の話
BLUE BACKS『紙のなんでも小事典』
紙の博物館編

予想に反し(失礼)
とても面白い本でした。

もっと早く(リサイクルの話のときに)投稿しようと
思っていたのですが天寧寺の白ネコ写真に合わない気
がして先送りになっていました。

武田邦彦さんの「紙はリサイクルしないで燃やせ」と
いう説と真っ向から対立する内容を含む本です。

『リサイクル幻想』には
「紙はリサイクルに適しません。
これからの循環型社会はできるだけ太陽エネルギーを
使って生活するのだから・・太陽エネルギーでできる
紙を遺産型資源の石油を使ってリサイクルすることは
不合理」
したがって紙は焼却して発電せよと書いてあります。

『紙の小事典』は紙にまつわる様々な興味深い章があり
その最後の章でリサイクルについて述べられます。
「紙はリサイクルの優等生」と仰るのですね。

どちらが本当でしょう?

我々はあちらの話をきけば「そうですね」と感心し
こちらで反論を聞けば「なるほど」と思い直します。
そんな立場でどちらが勝ち、などと云えるわけはない
のですが、それでも一応の判断をしないと
目の前に処理できない紙のゴミが溜ってしまいます。

『紙の・・』では森のリサイクル、紙のリサイクル
エネルギーのリサイクル、この3つを総合的に考える
べきと説かれます。

武田説の「燃やしてすべて回る」は少なくとも
現状の紙の需要供給を考えると非現実的のようです。

『紙の・・』が数十頁を割いているので説得的ですね。
もちろんこの中でも選別や処理技術開発の問題、また
エネルギーやCO2の課題も触れています。
現状に問題がないわけではありません。


この本は「手造り葉書」の話から始まって面白い話が
沢山つまっています。
リサイクルはオマケかなあ。

私には、知っているつもりだった和紙のあれこれが
新鮮でした。(装飾加工紙のあれこれなど)

知っているつもりという無知、ですねえ。

理科や社会のみならず、国語にも関係する蘊蓄話
これも必読書かもしれません。

(現代社会に欠かせない新しい技術の数々も面白い)


天寧寺の白ネコは散歩の途中みたいでした。

そのコースを遮る形で私たちがいたものですから
暫く待って、待ち切れずにそばを通り抜け
御愛想をしておいて、散歩の続きへ
ということだったようです。

そっと触ると毛並みがすべすべと柔らかく
妙に甘えるわけでもない、人間と対等にいる
ネコらしいネコでした。


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