妄想を少しと、好きな物、好きな事を備忘録のように、

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黒の試走車 - 梶山季之

2008年01月13日 | 読書
梶山季之(カジヤマキユキ)という作家をご存知でしょうか。
活躍したのが、ちょうど私の生また時代ですから、
ほとんどの方にとって、馴染みのない名前かもしれません。
例えば、雑誌のトップ屋(巻頭記事のライター)、
経済企業小説、そして、様々なフェティシズムを扱った小説の作家として
その先駆けとなった人なのです、

以前、私のブログで取り上げたのは、
フェティシズムを扱った、「男を飼う」という小説だったのですが、
今回、手にとってみたのは、「黒の試走車」岩波書店刊です。
自動車会社の新車開発に絡めて、産業スパイの駆け引きを扱った小説で、
企業を舞台にした小説になります。
昨今、企業を舞台にした小説は、様々な作家が手にしていますが、
この作品は、その嚆矢であり、実在の会社とその産業を模して書かれた小説は、
それ以前にはなかったスタイルだそうです。

60年代という時代背景から、少し違和感のあるところもありますが、
その当時の、サラリーマンの息遣いや、東京という街の雰囲気も
物語の流れとともに、楽しめます。
もちろん、物語自体も、古びたところはなく、
産業スパイという言葉は廃れてしまいましが、
企業間の競争や、会社組織に働く人々の機微は、
今でも通用する物語です。
あの「岩波文庫」の一冊として、古典として再販されるのも、
なるほどと思われる本です。


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