性差に関する本の多くは、
典型的な、「あるある」話を誇張して、、
面白おかしく書かれたものが大半だと思うのです、
確かに、方向音痴の女子は多いけど、
空間認識に苦手な男子とかも居るし。
結局のところ、酒場でのおやじの会話以上程度のものばかりです。
「関係する女所有する男」 斎藤環(さいとう たまき)著 講談社新書
この本の著者も、そのような本はいわゆる「とんでも」本だと切り捨て
性差を「男」「女」という言葉ではなく、
題名になる、「関係」と「所有」という切り口で説明しようとしております。
言葉と言う記号では、生物学的な「オス」と「メス」の違いは述べられても、
性差、つまりジェンダーの違いを説明出来ないとする立場です。
また、ことさら、性の違いを取りえあげない、ジェンダーセンシティブの立場からも、
敢えてこのようなアプローチを取ったとあります。
「所有する欲」が顕著に見られるグループと、
「関係を築く」気持ちが強いグループの二つ。
そして、その中で、比較の問題として、
生物学的な男性、つまり「オス」は前者に、
「メス」は後者に当てはまることが多いとする考えです。
なるほど、今までの本とは違い、納得のいく、切り口です。
行動ではなく、その行動を律する精神に注目する、
なるほど、精神科医らしい取り組みだと思うのです、
それが、肉体的な性に違いと重なりあうところが多い。
自分の行動を省みるに、「はるか」という名前の時は、
所有するよりも、繋がりを求めたい気持ちが強くなり、
戸籍上の名前でふるまうときには、「手の中にしたい。」
そんな気持ちを強く感じることに気が着くのです。
「ヤマなし、オチなし、イミなし」の妄想ですが、
その話を想う時、どちらかといえば、関係性を記したいと、
ただ、そのなかでも、所有されるという関係性が多いのは、
所有したいと思う性の名残かもしれません。
身体的特徴、表面的な行動様式ではなく、
具体的な事例を挙げ、それらが根付いている精神面に注目して、
ジェンダーの違いを説明する。
酒の席のネタにはなりませんが、
自分の中のジェンダーの濃淡に気が付いている人に、
是非お勧めしたい本です。
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