妄想を少しと、好きな物、好きな事を備忘録のように、

好きなもの、好きなこと、
思いついたまま綴っています。

好きの範囲は人それぞれ、お注意下さい。

生き難い性

2016年11月12日 | 読書

ズボンの裾から入って来る風の冷たさが辛くなる季節、

長めソックスにすれば良いのだろうけど、いっそのこと、、、、

もっと、薄くて、丈夫、様々な色のバリエーションがある履き物があるにの、、、

男であるが故にそれを手にする、履くことが難しい、、、、

まあ、脛に、毛を持つ人にとっては、その心地良さが半減してしまう。

 

この本の作家、クリスチャンは、ドイツの寒さを防ぐために、

偶然手に取った機能的な履き物を肌にした時から、彼の冒険が始まります。

そして、この本は、一年に渡る彼の冒険談とも言える本です。

 

 「女装して、一年間暮らしてみました。」 サンマーク出版

 クリスチャン・ザイデル著、長谷川 圭訳

一足のストッキングを身に着けたことで、彼は、女性という性に興味を示します。

そして、男の自分のなかに、その性が生きていることに気づき、

女性として、といっても、女性の服を身につけての生活を始めます。

そのなかで、女性という性別のもつ生き方、行動、感じ方、考え方に親しみを覚え、共感し

男性としてのジェンダールールよりも生きやすさがあることを知ります、

男性「性」としてあるべき姿に縛られている男性よりも、

その性別による規範が女性の方が緩やか、あるいは自由であることを知り

その自由さ、居心地の良さに魅かれていくのです。

とりわけ、女性になった彼を受け入れてくれた女性達との関係の方が、

彼が過去に経験してきた、男性としての男同士の付き合い方よりも、

はるかに自由で、開放的で、楽しいものだと、知ります。

それに、男性が女性にする、例えば、ドアを開けておく、重い荷物を、、

そんな日常的な行為にも、女性として、居心地の良さ、なんだか、得をした気持ちになります。

 

幾つの嫌な経験は、主として男性から仕向けられたものですが、

きっと、一番つらかったのは、仲の良い男友達を失ったこと、

自分の隠しておきたい憧れや興味を実践してしまった男への恐怖だろうと、

確か作者は分析していたと思うのですが、

ここにも、男性の男としての性規範の許容範囲の狭さを感じます。

ただ、最後に、再び男性の服に戻った時、

女性の姿をしていたときに親しかった女性達の接し方も変わったことを

性別の違いって、単に服装という包装紙だけで、

中身、つまり身体の性はそれほど関係無いのかと、思ったりもしました。

 

この本を読んでみて、思っている以上に、男と女の性の距離は近いものだと、

ただ、その間に、高い壁があり、それ故に誤解が生まれると、

ところが、その高い壁は、実は片方の性、男性だけが造っているもので、

女性は、すでに容易く低くしてしまっていると、

なんだか、男のの保守性を、いいえ、自らが守るべきモノを間違っている頑固さに

ちょっと残念な気持ちになりました。

 

メンズブラを身に着けると、優しい気持ちになるって、昔言われましたが、

スカートは、ましてや、ブラはともかく、男性もフェミニンな、ノンセクシャルな服を着る事で、

ちょっとだけ、性の立ち位置をずらすことで、新しい世界が見えてくる、

そんな経験をするべきなんだろうなって思うのです。

そうすれば、ガラスの天井に「ヒビ」も入るかもしれません。

 

隗から始めよではありませんが、久しぶりにしてみようかな、

あの着心地の良い服を肌にまとわせること、やさしく支えられる感じ、

わたしにとって、好きな、心地よい服を着る事。



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