作者の想像によって作り出された作品がフィクション。
事実を元に、書き上げられた作品がノンフィクションとされます。
性転換 古川智映子著 角川学芸出版
まさしくこの中間、つまり、作者の綿密な取材を元に、
ノンフィクションではなく、物語として書かれた小説で、
FTMの主人公が、心と同じ性の身体を得るまでのお話で、
彼の心の揺れ動く様、そして、同じ悩みを持つMFTの女性との繋がり
振り回され、悩みながらも、彼と彼女を支える家族。
そして、彼の悩みに親身になって立ち向かう医師達。
それぞれの人々が、それぞれの立場で、
どのように肉体と精神の性の違いに悩む人に接し
その悩みを解決するために力を尽くしたのか。
小説の中で、とても深く掘り下げられ、
時に、ノンフィクションの本を読んでいるような
そんな臨場感は、著者の取材の深さの賜物です。
意識と身体の性の違いに悩む人にだけ焦点を当てたのではなく、
この問題のもう一人の当事者である医師達の悩み。
その悩みを正面から捕らえ、真摯に立ち向かう彼らの姿を描くことも、
この本の、価値を高めています。
朝日新聞4月8日の記事によれば、
心と体の性が一致しない人が戸籍上の性別を変えられる
「性同一性障害特例法」をめぐり、
与党は、子どもがいる場合は性別を変更できない
「子なし要件」を緩和する改正案を参院に提出する方針を決めた。
子どもが成人したのを条件に「女性の父」「男性の母」が認められることになる。
民主党も同様の検討をしており、与野党間の調整がつけば、
今国会中に超党派の議員立法で改正される見通しだ。
読売新聞(4月6日)でも同じように報じられていました。
性同一障害特例法の「子無し」用件の見直しが検討されていて、
条件付ながらも性別の変更が可能になるかもしれないとんことです。
実態を考えれば、理想にはまだまだ遠いかもしれませんが、
そんな小さなもう一歩を踏み出すこのときに、
初めての性転換手術に立ち戻ることも、
この問題を考える上で必要なことではないでしょうか。
追記 - 1
個人的な意見で、何回か取り上げたことなのですが、
性同一障害」と言う言葉に私自身違和感があるので、
私の日記において、あえて、
「自分の肉体の性と精神の性の不一致」としています。
Disorderという言葉には、病気とか障害という意味も含まれますが、
一般的な「Order」どおりではない、そんな意味での「Dis-」という接頭し
心の性と身体の性のズレ、
それを、病気の症状とすることも、医学的にはあるのかもしれませんが。
個人的に、病気とか障害として扱いたくない気持ちがあるので、
出来るだけこの言葉を使わないようにしております。
追記-2
あわせて、GIDに関して、
知識を深めるために、