もう二十年も前のことですが、
スーパーの食肉売り場の広さの違いに
興味を持って、歩き回ったことがあります。
牛肉、豚肉、鶏肉の売り場の大きさが
地域によって明らかにその割合が変わるのです。
例えば、東急東横線沿線から北、中央線沿線まで、
その間に位置する店舗の牛肉の売り場面積が、
他の地域に比べて広いのです。
その反対側、二十三区の東側は、
比較的牛肉の棚が狭いのです。
「階級都市」橋本健二著 ちくま新書を読んで
そんな経験を思い出しました。
そのなかで、著者は東京の標高20Mに注目しています。
先ほどの路線で囲まれた場所は、
ほとんどが、その高さより高い場所、
いわゆる山の手と呼ばれる場所で、
東京の中でも、比較的所得の高い場所になり、
可処分所得の多さが、牛肉の消費志向の高さに繋がり、
スーパーの食肉売り場の広さに影響している。
そんな見方は、うがち過ぎでしょうか。
まさしく、その標高20Mの際に住んでいる私にとって、
その違いは、日々の生活のなかで実感として感じるのです。
川沿いのスーパーと坂の上のスーパーでは、
品揃えも客層もまったく違います。
新しい分譲住宅に住むファミリー層、単身者
木造アパートに住む独身者。
戸建てに昔から住んでいる住人。
それらの交流はほとんどなく、
年齢、服装、活動時間さえも交じり合うことはありません。
ここ数年、格差について、様々な角度から取り上げられ
マスコミに取り上げられることも多くなったのですが、
格差というものは、新しいものではなく、
昔から、そこにあったもので、
気がついていても、
言葉にしなかっただけなのかもしれません。