JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

『どぶ汁』喰いてぇ!

2007年01月09日 | p-r

ここ二日ばかりやっと冬らしい天候、気温も平年並みとなりました。この時期になると食べたくなるのが「東のアンコウ、西のふぐ」、アンコウです。
昔はあたりまえのように口に入る食材でしたが、最近はなんだかとんでもない高級魚になってしまって、形の良いアンコウはなかなか手に入りません。

「バブ、アンコウのどぶ汁喰いてぇなぁ」とS君が言っていたのは、先週のことだったと思います。
「自分で作ればいいじゃん」
「そっか、たまには作ってみんか」

S君はそもそも浜の出、私以上にアンコウなどあたりまえに食べていたはずですので、『どぶ汁』の作り方などお手の物だろうと思いきや、
「バブ、どうやって作りゃいいんだぁ?」
昔は、アンコウの『吊し切り』だって普通にお母さんたちがやられておりましたし、いやというほど『どぶ汁』も作っておられました。
しかし、高級魚と化した現代は、家庭でしょっちゅうというわけにもいかず、まして、料理など滅多にしないS君にはなかなか大変なのでしょう。
基本のレシピをレクチャーいたしました。

アンコウという魚は、がたいが大きければ大きいほど美味しい魚、切り身になった状態では善し悪しの判断もつきにくくなります。
「どうせなら、一尾買いのほうがいいだろう? 魚屋でおろしてくれるよな」
さて、お味はいかがなものだったのでしょうか?

アンコウは漢字で書くと『鮟』一文字、もしくは『鮟鱇』と書きます。『安』の字は伏すという意味がありますので、「好んで伏して、腹が平に地につく魚」から来ているそうであります。
楽器の琵琶に形が似ていることから、『琵琶魚』とも呼ばれるそうですが、語源は「アンゴウ」というヒキガエルを表す方言に由来し、姿が似ていることからこう呼ばれるようになったのだとか。
いずれにしても、魚の味は姿形ではありません。『どぶ汁』は旨いですよぉ、レシピはいたって簡単ですので、後で書いておきますからよろしければお試しあれ。

さて、今日の一枚はムーディーなアイク・ケベックにしてみました。
ドラックと闘ったすえにカンバックしたケベック、しかし、この時期にはもう病魔が彼に襲いかかろうとしていました。
病状の悪化を止めようとしたかのように、翌年10月までブルーノートのアルフレッド・ライオンは、彼の録音を頻繁に行いました。そして、1963年1月16日、長きにブルーノートの縁の下の力持ちでもあったケベックは肺ガンでこの世を去ります。享年44歳の若さでした。
おそらくは、ライオンも彼の症状に気がついていたのでしょう。数多くの録音は治療費捻出のことを考えてのものだったのかもしれません。

そんな中、生まれたこのアルバムは特に出来がよいと私は思います。
日本では比較的評価の低いケベック、地味ながらよくうたうソロを聴けば、もっと評価してもよいと、誰もが納得するのではないでしょうか。

BLUE AND SENTIMENTAL / IKE QUEBEC
1961年12月16[1~5], 23[6]日録音
IKE QUEBEC(ts) GRANT GREEN(g)
PAUL CHAMBERS(b) PHILLY JOE JONES(ds)[1~5]
SONNY CLARK(p) SAM JONES(b) LOUIS HAYES(ds)[6]
1.BLUE AND SENTIMENTAL
2.MINOR IMPULSE
3.DON'T TAKE YOUR LOVE FROM ME
4.BLUES FOR CHARLIE
5.LIKE
6.COUNT EVERY STAR

おまけ、
簡単『どぶ汁』レシピ

1.まずは土鍋でアン肝を油が出るまでから煎りします。(惜しまずやって下さい。)次ぎに味噌を加えよく煎り混ぜます。
2.アンコウの七つ道具(肝はもう使ってますので、正確には六つ道具)を、ドバッといれて、肝味噌を絡めます。
3.しばらく火にかけておくと、あ~ら不思議、水を一滴も入れなくとも汁が湧いてきますので、これに下茹でした大振りの大根を投入。
4.またしばらく火にかけておくと、大根からも水が出てきますので、味見をして下さい。薄いようでしたら味噌を足して、ハイ出来上がり。

肝心なのは、肝を煎ること、水を加えないこと、この二点です。
大根だけじゃ物足りなければ、野菜を加えてももちろんよいのですが、水だけは絶対に加えないこと、赤い油の浮いたスープはしつこそうに見えますけど、濃厚でありながらサッパリした味わいに仕上がるはずです。