JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ジャズ封印

2006年12月17日 | y-その他

今日は、嬉しいことに一人でお留守番です。
誰に気兼ねなく、引きこもりが出来るとあれば、これ以上の休日はありません。
「さぁーて、何をしようかなぁ~~~」
まずは久しぶりにビデオでも観ようと、取り出したのは「JANIS JOPLIN LIVE With Big Brother and The Holding Company」。

えっ?何でジャズじゃないかって?
いくら私でも、ジャズばかり聴いているわけではないのですよ(笑)
だからというわけではないのですが、今日はジャズと呼ばれるものに封印をかけてみました。
ジャニスのビデオを観た後は、
クリーム(クラプトン)、サンタナ、ジェフ・ベック、ここで昼食を挟んで、レッド・ツェッペリン
「ふむふむ、ギタリストはこんなもんかな」
シカゴ、チェイス、フェイシス、ピンク・フロイド、ELP

「こりゃ疲れるぞ・・・・う~~~、ジャズ聴いちゃダメ?」
ならばと、スリーピー・ジョン・エステス、ベッシー・スミス、ロベルト・ジョンソン、マハリア・ジャクソン、

「そろそろ、黒人は離れて」
もう一度ジャニスに戻って、完全に疲れたのでカーペンターズ、サイモン&ガーファンクルと

・・・・・はははは、もう夕食の時間になっていました。

なんだか、凄い一日で、さすがの私もゲップが出そう。夕食後は音楽を離れ、今はサッカーを観戦中です。
でも、こんだけまとめて聴けば、明日からまたジャズ野郎(バカ野郎?)に戻れるでしょう。

さて、今日の一枚は、いちおう『ジャズ封印』は解かずということで、このアルバムにしてみました。
ロン・カーターならジャズだろうって?
違いますよ。「SUMMERTIME」なんかも入っていますが、ジャズのそれとは違う(もちろんジャニスのそれとまではいきませんよ)曲調です。ベースとソプラノ・サックスのディオが、なかなかです。
正直、私はこのCDを全曲通しで聴くと、あきが来てしまうのですが、6曲ぐらいまで(前半でも後半でも)聴く分には、心の落ち着きを取り戻させてくれる、よいアルバムだと思っています。

AIR
1999年10月18,19日, 2000年2月29日~3月2日録音
須川展也(as,ss) RON CARTER(b) 他
1.ARIOSO
2.AIR FROM BACHIANAS BRASILEIRAS
3.RECUERDOS DE LA ALHAMBRA
4.I GOT RHYTHM
5.SUMMERTIME
6.POLOVTSIAN DANCES
7.AIR
8.GREENSLEAVES FANTASY
9.FROM SYMPHONY No.35 "HAFFNER"
10.BEAU SOIR
11.DANZA RITUAL DEL FUEGO
12.EL DIA QUE ME QUIERAS


十五理(ことわり)

2006年12月16日 | a-c

今日はなんとか雨も上がり、ときおり晴れ間も見えましたが、ほとんど曇り空。それでも寒さは感じない一日でした。
土曜恒例のロング散歩は、いつもより多めに歩いてきました。ふと気がつけば、亡くなった旧友宅近くまで歩きつき、
「せっかくだから、ご挨拶だけでもしていこうか」
♪ピンポーン
「あら、バブさん・・・・ひょっとして、いいところに来てくれたかもしれない」
「??????」

亡くなった旧友I君は、じつにマメで器用な男でした。
アパートの押し入れを改装して(中板を外しちゃって)利用していたかとおもえば、引っ越し当日に直してしまう、車の改装(変なヤツじゃないですよ)はお手の物、あげくは、アイロン掛けまで完璧、中学の時など、技術(昔は必修であった科目です)で自分のものだけじゃもの足らず、他人のものまで作ってしまうというヤツでしたから、家の中のことは、一手に彼がこなしていたようで

「今ねぇ、障子の張り替えをやってたんだけど、どうも上手くいかなくて」
と奥様、中学生の次男と四苦八苦の様子。
「偉いなぁ、お母さんの手伝いして」
「バブさん、張り方教えてもらえない?」

I君ほど上手くはありませんが、それでも障子張り程度ならお手伝いもできようかと、
「全部手伝ってる時間はないけど、一枚だけやってみるから、○○君、ちゃんと憶えて、お母さんに教えてやって」
ということで、次男に教えながら、一枚だけ障子張りをやってきました。
なんだか、久しぶりに息子と何かをやったような気分になって、ちょっと楽しくなってしまいました。

「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つことば、十二文(ふみ)、十五理(ことわり)で末決まる」
人間は、脳と体と心の三つから成っていて、心は脳と体を結びつける糸、三つまでに、この見えない糸を張らせるのが「三つ心」です。
次ぎに、六つまでに張られた糸のトレーニング、これが「六つ躾」。六つまでにきっちり躾をほどこせば、生涯、恥をかかない人間になれるといいます。
九つまでに言葉遣いを教え、十二までに書類が書けるようになり、十五までに道理がわかる人間に育てる、「十五理」となるわけで。これが親としての役割だと説いた江戸のことばであります。
十五で理をわきまえさせるのは、現代では難しいことかも知れません。というより、親が道理を忘れているのかもしれませんね。

そんな中、片親でこれをやるのは特に大変でありましょうに、I君のところは、じつに奥様がよくやっておられる、とてもしっかりしたお子さんに育っておりました。
最近のいじめ・自殺問題も、しっかりした親がきちんと子を仕込むことが肝心なのでしょう。いまさら私が思っても、我が家では後の祭りではありますけど(笑)

さて、今日の一枚は、コルトレーンです。しかも、いまさらなんたらかんから言わなくてもいいという、超ポピュラー盤。
じつは、今日なぜか無性に聴きたくなって、ターンテーブルに上げたのですが、やっぱり良いものは良い。
コルトレーンのアルバムの中で、『勢い』だけ考えるなら、このアルバムがやはり一番ではないでしょうか。
マイルス・グループを離れ、アトランティックで「よし、いくぞ!」という『勢い』、これには圧倒されるものがあります。
その『勢い』に無理矢理付き合わされたサイドメンには、少々「聞いてねぇよ!」的な、可哀想な面もありますが、後にトミー・フラナガンが「それでも、歴史的アルバムに参加できたことは、今となっては光栄なことだった」と言ってますから、コルトレーンの強引さにも納得がいったということなのでしょう。
ともかく、マイルス・グループを飛び立ったコルトレーンが、全曲オリジナルで「どうだぁ!」と意気込んだ名盤です。

GIANT STEPS / JOHN COLTRANE
1959年5月4,5日, 12月2日録音
JOHN COLTRANE(ts) TOMMY FLANAGAN[1~5,7], WYNTON KELLY[6](p) PAUL CHAMBERS(b) ART TAYLOR[1~5,7],  JIMMY COBB[6](ds)
1.GIANT STEPS
2.COUSIN MARY
3.COUNTDOWN
4.SPIRAL
5.SYEEDA'S SONG FLUTE
6.NAIMA
7.MR. P. C.


教えてくんなませぇい!

2006年12月15日 | v-x

毎月のことかも知れませんが、あっという間に今月も中日を迎えてしまいました。
12月中日といえども、年末、新年を迎える、あの何とも言えない高揚感は、年々薄れていくように思います。これもまた、加齢のせいでありましょうか? ただ、知らぬ間に出ていく『諭吉』や『英世』が、年の瀬を伝えてくれるのみです。

「○○スーパーのポイントを商品券に替えられるの今月だよね?」
(知るか、そんなこと)
「その商品券で、正月の準備するんだから、今年は餅どうする? つくんだったら、餅米たんないよ。・・・・既製品は高いから、やっぱ餅米買ってくるか」
(すべて、自己完結なら、ひとに訊く必要はないでしょう)
「神棚の御札、いつもどおりでいいんでしょ? もう頼んじゃったけど」
(頼んだ後で訊かれても意味もないし、まして、その手の関心が全くない私に問われても)
「ああ、いいよいいよ、なんでも好きにやって」

私が関心あるといえば、せいぜいが御神酒を何にするかの話で・・・でもこれは結局私の『諭吉』を使いに出すしかないわけで・・・
「えへへへへ、スーパーの商品券、御神酒代にも回してもらえないかなぁ・・なんちゃって」
「却下!」

「あっ、そうそう、今年も自分で食べたいものがあったら、自分でつくるんだからね。」
(何をいまさら、毎年、年越しの夕餉と新年の朝飯は、私が担当ではありませんか。)
「まったく、つまみまで考えなくちゃいけないから、大変なんだから」
(うるせぇ!つくるのは、私だって)

あっ?こんな会話が出てくるということは、やっぱり年の瀬なんですね。

ところで、料理担当も私なのですが、大掃除の神棚担当も私。
それがね、神棚を掃除するたびに気になる『生きもの』(?)がいるんですよ。

これなんですけど、母に訊いても、何処のなんという民芸品だかわからない、何をかたどったものかすらわからないのです。
「う~ん、猿っぽい顔だけど、猿にひげはおかしいし・・わかった虎だ虎・・虎かぁ?」
なんの核心もないまま、今日に至っております。
どなたか、この『生きもの』の、いわれ、名前、ets. がわかる方がいらっしゃいましたら、教えていただけませんでしょうか?
我が家の神棚に鎮座まします謎の『生きもの』、私のお気に入りなんですよ。
ぜひとも教えてくんなませぇい!

さて、今日の一枚は、プレスティッジが売り出しを試みたピアニスト、ジョン・ライトです。(はっきりいって、売り出しが成功したとは言い難いですけど)
プレスティッジ(ニュージャズを含め)に残る彼のアルバムは5枚、そしてこれが最後の録音、なんでもない曲を、とても魅力的に聴かせてくれるピアニストとして私は評価しています。「WHAT'S NEW」なんて、なんとも味があって良いですよ。
レッド・ガーランドっぽいけどちょと違う、黒っぽいけど臭くない、そんな感じでしょうか。とても耳になじむ良いアルバムだと思います。
この人もまた、もっと評価が高くて良いピアニストではないかと思うのですが。

MR. SOUL / JOHN WRIGHT
1962年4月10日録音
JOHN WRIGHT(p) WENDELL MARSHALL(b) WALTER PERKINS Jr.(ds)
1.OUR WALTZ
2.BLUE PRELUD
3.WHAT'S NEW
4.EVERYTHING'S GONNA WORK OUT FINE
5.MR. SOUL
6.SHAKE
7.STRUT
8.NOW HANG IN THERE

おまけ、
「酒話」更新しました。よかったら見てくださいね。


思い込み

2006年12月14日 | m-o

今朝、朝飯を食べていると母が
「今日は何日だ?あぁ14日討ち入りの日かぁ」とぽつり、さらに
「討ち入りの日には雪が降ってたっていうけど、こんだけ暖かいと雰囲気無いなぁ」
たしかに今朝は特に暖かい朝でした。

人間は『思い込み』の生物です。
『義士祭』等々、赤穂浪士に関する行事は、今日12月14日に行われますから、どうも実際にこの季節に討ち入りは行われたとおもいがちです。
もちろん、温暖化が進み、雪の量が減ってきたこともあるでしょうが、実際に討ち入りが行われたのは元禄15年12月14日、つまり旧暦であったということ、新暦でいえば、1703年1月30日あたり、
ねっ!現代でも雪はあり得るでしょう。これも『思い込み』。
「赤穂は正義で、吉良が悪」これも立派な『思い込み』ですよね。

ほらほら、振込詐欺の被害に遭うのだって『思い込み』が原因でしょ。
現在、何かと話題になっている『タウン・ミーティング問題』も、大きな意味で国民に『思い込み』をさせるための施策だったのかもしれない。
私の住んでいる田舎なんか、県名を他人に教えると、東京以西の方には「冬は雪が降ってたいへんでしょう」なんて言われてしまいます。(年に一、二回しか降らないのに)
これも『思い込み』。

1937年、時は日中戦争まっただ中、第二次上海事変に敗れた中国軍は、当時の首都、南京(中華民国)を中心に防衛戦を設置、日本軍は防衛戦を次々と撃破、12月10日から南京城への総攻撃を開始し、ついに12月13日に落城しました。
そして、今から69年前の今日から、かの『南京大虐殺』が始まったのです。
日本においても、中国においても、当時その場に居合わせた、いわゆる生き証人は、数少なくなってきています。したがって、犠牲者の数、あるいは虐殺された人間の立場(一般人であったのか、兵士であったのか)等々において、諸説が存在します。
だけど、ここで多くの犠牲者が出た事実は変わりません。この時の日本兵は本当に夜叉だったのか?夜叉だったとして、何がそうさせたのか?
これもまた、『思い込み』が、日本兵を夜叉に変えたのではないかと私は思うのです。

詳細は別として、事実史として、『南京大虐殺』も我々日本人の創り上げた現実なのです。戦争は過去のものという『思い込み』は、時に自己に寛容で、戦争の恐ろしさを忘れさせ、身勝手な『思い込み』を誘発するかもしれません。

新しい教育基本法は成立するのでしょう。できるなら、その法律が変な『思い込み』をもたらさないものであって欲しいと思います。

およよ、なんだかとんでもなく重い話になってしまいました。

朝日新聞の第3社会面に「敵役・吉良上野介の言い分」と題された記事で、菊池寛の小説『吉良上野の立場』や清水義範『上野介の忠臣蔵』、岳真也『吉良の言い分』といった本とともに、上野介が近年めざましく名誉を回復していることを紹介しておりました。
たまには、『思い込み』を取っ払って、物事を考えるのも悪くないかもしれません。

ともかく、情報過多の現代だからこそ『思い込み』には、お互い注意しましょうね、というお話しでした。

さて、今日の一枚は、ブルー・ミッチェルです。
そもそも、ミッチェルは過少評価されがちだと思っているのですが、このアルバムも、もっと評価が高くて良いじゃないだろうかと思う一枚です。

ボス抜けアルバムには、例えばキャノンボール・アダレーの「IN CHICAGO」みたいに、ボスといっしょにやっている時とは、また違う魅力が見える、というものがありますよね。
このアルバムもまさにそれ、ボス、ホレス・シルバーが加わったファンキーなイメージは、ここではまったく感じられません。(キャノンボールと真逆ですけど)
それが、ミッチェルの魅力を増幅しているというか、じつに名盤だと思います。
ミッチェルはシルバー・グループ以外「BLUE'S MOODS」しか知らないという方が、もしいたら、ぜひともこのアルバムをお聴きになってみて下さい。

THE CUP BEARERS / BLUE MITCHELL
1962年4月11日録音
BLUE MITCHELL(tp) JUNIOR COOK(ts) CEDAR WALTON(p) GENE TAYLOR(b) ROY BROOKS(ds)
1.TURQUOISE
2.WHY DO I LOVE YOU ?
3.DINGBAT BLUES
4.CAPERS
5.THE CUP BEARERS
6.HOW DEEP IS THE OCEAN ?
7.TIGER LILY

追伸、
勘違いしないでください、『思い込み』を全て否定するわけじゃありませんよ。
例えば、恋に『思い込み』は絶対に必要なものですし、夫婦にも必要かもしれない。仕事にだって、遊びにだって、時として『思い込み』は必要なものです。
「オレって、天才!」
いいじゃないですか。


恋しい~~!

2006年12月13日 | d-f

今日はなんだかとても暖かい一日で、陽気に誘われたわけでもないのですが、たまには浜に降りてみようかと車を道路脇に止め、砂浜を歩いてきました。
青空ならもっと良かったのでしょうけど、あいにく昼過ぎまで良く晴れていた空もその時間には曇り空、もうすぐ夕暮れも近づいています。

それでもやっぱり海は気持ちがいい。
大きく深呼吸すれば、あの海独特の香りが、身体にしみ込んできます。
あの香りがダメだという人もいますけど、私は生き返るおもい、

  生まれてしおに浴みして
  浪を子守の歌と聞き、
  千里寄せくる海の気を
  吸いてわらべとなりにけり。

唱歌『われは海の子』の二番、まさにそんな感じでした。


沖を眺めれば、若いサーファーが波を待っています。
「いくら暖かい日でも、海の中は寒いだろうなぁ」
彼ら以外誰もいない浜辺、この季節の海も悪くありませんね。

  入り日のなかに立つけぶり
  ありやなしやとただほのか、
  海辺のこひのはかなさは
  こぼれ松葉の火なりけむ


何処かうら寂しい夕暮れ間近の浜辺は、佐藤春夫の『海辺の恋』を想わせます。

なんだか、無性に酒と人が恋しくなってしまいました。
「今晩は飲みに行っちゃおうかなぁ~~~」
・・・・・・・なんだい、けっきょくそれかいな。

さて、飲みに出かける前に今日の一枚ですね。
久しぶりにビル・エバンスでも聴いて、益々飲みに行きたい気分を盛り上げましょうか。御存じ、伝説的なエバンス・トリオ結成間もないデビュー作です。
このトリオがリヴァーサイドに残したアルバムは4枚、スコット・ラファロが自動車事故で亡くなるのが1961年7月6日ですから、2年もたたずにこのトリオは伝説になってしまったということ、、、、
ジャズの世界では「なられば」がよく語られます。
ブラウニーが、コルトレーンが、ドルフィーが・・・・・・そしてラファロが
でも、「結果、だからこそ伝説になる」ということもあるはず、それまでのピアノ・トリオの常識を覆したと言われる伝説のエバンス・トリオを、残された足跡でじゅうぶんに楽しみましょう。

PORTRAIT IN JAZZ / BILL EVANS TRIO
1959年12月28日録音
BILL EVANS(p) SCOTT LaFARO(b) PQUL MOTIAN(ds)
1.COME RAIN OR COME SHINE
2.AUTUMN LEAVES(take1)
3.AUTUMN LEAVES(take2)
4.WITCHCRAFT
5.WHEN I FALL IN LOVE
6.PERI'S SCOPE
7.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE ?
8.SPRING IS HERE
9.SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
10.BLUE IN GREEN

追伸、
ジャケットの「TRIO」の表記は、エバンスのたっての要望であったそうです。彼自身がこのトリオに大いなる可能性を見いだしていた証でしょう。

おまけ、
「さぁ~て、飲みに出かけるとしますか。」
「あっ!そうそう、出かけるなら、○○さんのところまわっていってくれる、なんか用事があるみたいだから」
「え~~~!、メシも食ってないのに、飲むのも遅くなっちゃうジャン」
「ご飯食べないのは、いつものことでしょ!」


考えて贈ってね

2006年12月12日 | y-その他

べつにクリスマスが近いからという話でもないのですが、いくつになってもプレゼントをいただくというのは嬉しいことであります。ましてや若い女性からいただいたひにゃあーた、オヤジは舞い上がってしまうもの

「バブさん、これプレゼント」
げへへへへへ、なんと20代の女性ですよ、じょ・せ・い。
「なになに、クリスマス・プレゼントには、ちと気が早いんじゃないの(ニコニコ)」
ところが手渡されたのは、すでに開封済みのCDであります。
「????ULTIMATE JAZZ CHRISTMAS ????」
なんだか、ちょっと前にもこんなことがあったような・・・・? まぁいいけど。

なんてことはありません。クリスマス・ソングのCDを彼氏が買ってきてくれたのだそうで、ところが4枚ほど持ってきた中に、すでに所有していたCDがあったのだとか。

「それでね、ジャズのクリスマス・ソングだったから、バブさんにあげようかと思って」
(それにしても、なにも開けた方を持ってこなくても・・・)
「なに?それでわざわざ持ってきてくれたの?うれしいなぁ~~~~(ガックリと泣)」

考えてみれば、若い女性が私にプレゼントをしてくれる、その時点で無理があるわけで、いったい私は何を期待したのか・・・自分でも恥ずかしい。
それでも、ジャズ=バブと結びつけてくれただけでも感謝しなければいけません。
内容は別としてもありがたくいただいてまいりました。

プレゼントといえば、二、三日前、母宛に男性から花が送られてきました。
・・・・・・はははははは、
もちろん『老いらくの恋』じゃありませんよ。義理の兄からのプレゼントです。
以前にも送ってくれたことがあるのですが、シンガポールか何処かの花なのだそうです。どうも義兄は前倒し定年の後、海外で何か商売を始める計画らしく、しょっちゅうあちら方面にお出かけになっていらっしゃいます。
「まったく、外の息子は、こうやっていろいろやってくれるのに、本当の息子はねぇ~~」
(おいおい、話はそこかい!?)
「な~に言ってんだよ、休みの日に晩飯まで作ってくれる息子なんてそうはいないよ」

義兄(おにい)様、私は家でこれ以上小さくなりたくありませんので、よ~く考えたうえでの親孝行をお願いいたします。

そういえば、子供達へのプレゼントに、あれに、これに・・・・あ~~~!カネがねぇ~~~!

さて、ということで今日の一枚は、本日いただいたアルバムにしてみました。
ブルーノート・オムニバス盤「ナット・キング・コールからノラ・ジョーンズまで」みたいな一枚です。
せっかくいただいたので、今年のクリスマスにはかけてみようかなぁ~~~なんて、
でもね、もらっておいて言うのも何なんですが、クリスマス・ソングって、何時、何処で、どんな感じで聞けばよいのでしょう?
今の時期から、大音量で「ジングルベール、ジングルベール」って流していてもねぇ、まして、一人趣味部屋でじゃあんまりにも意味無いでしょ?
とくにボーカルものは、厳しくありません?
・・・・・・・・これは、私が寂し~~いが故の思い込みでしょうか?

ULTIMATE JAZZ CHRISTMAS
1.SLEIGH RIDE / DUKE PEARSON
2.THE CHRISMAS SONG / NAT KING COLE
3.BASIE'S JINGLE BELL / COUNT BASIE
4.THAT EHAT I WANT FOR CHRISTMAS / NANCY WILSON
5.I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM / ELIANE ELIAS
6.JINGLE BELL / DIANNE REEVES
7.MERRY CHRISTMAS BABY / CHARLES BROWN
8.WHITE CHRISTMAS / BOOKER ERVIN
9.HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS / LOU RAWLS
10.LITTLE DRUMMER BOY / DUKE PEARSON
11.CHRISTO REDENTOR / DONALD BYRD
12.PEACE / NORAH JONES
13.A CHILD IS BORN / THAD JONES - MEL LEWIS

おまけ、
先週末に更新予定であったHP、昨晩こそこそっと「ジャズ四方山話」だけ更新いたしました。よろしければご覧下さい。


鑑賞の後

2006年12月11日 | a-c

いやはやまいりました。週末にHPの更新でもしようかと思っていましたが、我が家のデスクトップがストを起こしまして、そんな時にかぎってノートも仕事場に置きっぱなしとくる、2連チャンの飲み会と相まって、ブログの更新すらできない週末でありました。

ということで、暇をもてあました昨日は、DVD鑑賞とあいなりました。
しばらく前に、ブログ仲間「心の色を探して」のけいさんが、娘さんお勧めのDVDとして、「タイヨウのうた」を紹介されておりました。
家人はTBS系のドラマも観ていたようですが、なにしろ私は最近テレビオンチ、けいさんのログのみの情報で鑑賞いたしました。

この手の物語には、歳のせいでしょうね、どうにも涙腺が刺激を受けやすくなっていて、客観的な評価は難しくなっています。
XP(色素性乾皮症)の少女と、真っ直ぐな男の子の、じつに爽やかな一夏を描いた映画でした。
彼女が残した思い出と歌に、彼女の死を悲しむだけではなく、その後の生きる力を与えられた家族、友人、そして彼、「私は死ぬまで生き続けると決めた」と明るく父に語る彼女が、とても印象的でした。
こういう映画は、細かくどうのこうの言う映画ではありませんね。観た人たちが素直に受け取るメッセージを、それぞれに感じ、それぞれに心へ残せば、それでじゅうぶんでしょう。

見終わった後、映画への感動はこっちに置いて、XPについて少々調べてみました。

色素性乾皮症(XP:Xeroderma Pigmentosum)は、
「光線過敏症の常染色体劣性遺伝性皮膚疾患である。この疾患の病因は、紫外線によるDNA損傷の修復機能の障害によるものである。又、本疾患は、8群(A~G群とバリアント群)に分類され、日本人に多いA群は、皮膚疾患に加え、進行性の中枢神経障害や末梢神経障害が出現する」
という病気だそうで、つまりは、この病気の患者さんは、太陽光に直接あたることはもちろんできず、さらにA群の患者さんは、原因不明の神経障害により、手足が不自由になり、運動が不能となっていくということらしいです。

以前からこの病気の存在は承知しておりましたが、詳しいことは知るよしもなく、調べていくうちにビックリしたのは、この病気が『難病指定』を受けていないと知ったことです。
指定された『難病』、特定疾患とは、国の難病対策では
「いわゆる難病のうち、原因不明で、治療方法が確立していないなど治療が極めて困難で、病状も慢性に経過し後遺症を残して社会復帰が極度に困難もしくは不可能であり、医療費も高額で経済的な問題や介護等家庭的にも精神的にも負担の大きい疾病で、その上症例が少ないことから全国的規模での研究が必要な疾患」
と定義しているそうです。

もちろん私は、この病気の詳細も、あるいは『難病指定』のなんたるかも、理解しておりません。ただ、じつにうわべだけで考えると、どうしてこの病気が指定されないのか不思議にも思ったのです。
『難病指定』を受けることによって、患者さんへの支援はもちろん、病気に対する調査研究も国として取り組む体制がつくられるそうで、できればそうなって欲しいと単純に思ってしまったのです。

でも、こんなことは思いつきで語ることではありません。この病気以外にも同じような問題を抱えた病気も存在するのでしょうし、『難病指定』に関しても、さまざまな事情が存在するのでしょう。
ならば、私に出来ることはなんなのか?
こういった多くの病気の存在を知り、理解し、私自身の偏見を無くしていくこと・・・
そう考えると、この年になってもまだまだ勉強することが山のようにあるんだなぁと、教えていただいたように感じたのです。

ふと、鑑賞したDVDから、そんなことを考えてしまった日曜日でした。

さて、今日の一枚は、本文とはかけ離れた理由ですが、昨日、朝の酒臭さを吹き飛ばすために聴いたアルバムです。
なかなか聴くことのできない、ジョー・マイニ、ウォルター・ベントン、二人の演奏を聴けるのもさることながら、「CORONODO」を聴いていると、なんだか元気が出て来るというか。クリフォード・ブラウンもマックス・ローチも、とっても楽しそうに聞こえてくるんです。
それからね、やっぱりこの頃のケニー・ドリューが、私は好きなんですねぇ。
このメンバーで、この雰囲気ですから、「なんだ、単なる東西のジャム・セッションか」なんて思う人も多いでしょう、だけど「単なるジャム・セッション」ではけしてありません。
どう「単なるじゃない」かは説明できませんので、聴いてみて下さいね。(笑)

BEST COAST JAZZ
1954年8月11日録音
CLIFFORD BROWN(tp) WALTER BENTON(ts) HERB GELLER(as) JOE MAINI(as) KENNY DREW(p) CURTIS COUNCE(b) MAX ROACH(ds)
1.CORONODO
2.YOU GO TO MY HEAD

追伸、
日本にはXP患者さんの家族会が3つあり、活発な活動を展開しておられるようで、『国色素性乾皮症(XP)連絡会』では、難病指定に関する署名活動などもなさっております。
また、難病とはなんたるかを知るには『難病情報センター』がHPを開設されていますので、興味のある方はご覧下さい。


『ちぐさ』もまた

2006年12月08日 | a-c

昨日、どうしても時間がとれずに持って行けなかった「孤軍」を、今日マスターに届けてきました。
「バブさん、そういえばこの前話してた『ちぐさ』が閉店になるみたいだよ」
「えっ!ほんとに?」
帰ってさっそく調べてみると「ジャズ育んだ横浜の「ちぐさ」、来月閉店へ」の記事を発見、ガセネタではありませんでした。

横浜野毛の『ちぐさ』といえば、誰もが知る『ジャズ喫茶』の老舗中の老舗。
私も、横浜在住時代には幾度となく利用させていただきました。

昭和8年、二十歳の吉田衛(よしだ まもる)氏は美術輸出品の荷造り業をしていた父親から、当時では大金だったでしょう、千円をもらい、純喫茶『ちぐさ』を居抜きのまま650円で買い取り、SP盤千枚で営業を始めたのでした。
その後、吉田氏は出征、昭和21年6月に復員しますが、店もレコード・コレクションも焼失しておりました。途方にくれたでしょうね。
しかし、焼け野原に流れる進駐軍放送のジャズを聴いて、ジャズ喫茶『ちぐさ』の復活を決意、以後亡くなる平成6年10月30日まで、頑なな彼のポリシーのもと店を守り通してこられたのです。その後は妹さん、孝子さんが店を続けておられましたが、店を含む一帯のビル建築計画が持ち上がり、閉店を決断されたのだそうです。

メニューにアルコール類は存在せず、窓際と壁際に客が一列に並んで座り、真ん中に並ぶJBLのスピーカーから流れ出るジャズをひたすらに聴く、琺瑯びきの灰皿に揺らぐ煙草の煙が、ただただ懐かしく思い出されます。
私が幸せだったのは、あの頑固親父が健在なうちにこのお店を利用できたことでしょうか。

私がえらい落ち込んでいたときに、お付き合いをしていた彼女ではないのですが、私の様子を心配してくれた女性(ひと)がいて、
「今日は、私が付き合ってあげるから、好きなとこに行きましょう。」(変な意味じゃなくてですよ・・・笑)
中華街で食事をして、飲みにでも行こうかとも思ったのですが、無性にジャズが聴きたくなって、ジャズにまったく興味のない彼女を『ちぐさ』に連れて行ったことがありました。
3時間もの間、一言も発せずジャズに聴き入り、彼女のこともほったらかし、店を出ると
「少しは気が晴れた?」と彼女、その後も私にしっかりお付き合いをしてくれましたっけ。
どうして私は彼女といっしょにならなかったんでしょう?、今思えば、とても素敵な女性だったのに・・・・・・M美さん、どうしてるかなぁ・・・・・・・って、
それはさておき、『ちぐさ』はそんな青春の良き思い出も残るお店なのです。

また一つ、老舗の『ジャズ喫茶』が消えてしまうことは、「ジャズは『ジャズ喫茶』で聴くもんだぁ!」世代の一人として、とても残念でなりません。しかし、何十年も行っていない私が、「なんで、やめちゃうのぉ~~」と言える義理もなく、横浜の思い出とともに私の宝箱にしまい置きましょう。

ちなみに、貴重なレコード・コレクションをどうするかに関しては、現在、孝子さんや常連客で話し合いが続いているそうであります。できればパブリックな形で利用されることを期待したいと思います。

さて、今日の一枚ですけど、M美さんはほったらかしだったくせに、吉田氏に手渡されたリクエスト・カードで、その時しっかりリクエストしたのが、このアルバムのA面だったと思います。(よく憶えてるでしょ)
たぶん、落ち込んでいたので少し陽気になろうと思ったのでしょうね。「THIS HERE」が終わって、テケテケテーテーテーってサム・ジョーンズのベースが鳴り始め、ドコドンってルイ・ヘイスが加わって、ジャジャってティモンズのピアノが重なり、パッパーラララってアダレイ兄弟がはいってきた頃には、私のうつ状態もかなり改善されていたのを憶えています。(いやはや単純)

ともかく、今でも楽しく聴けるアルバムです。

THE CANNONBALL ADDERLEY QUINTET IN SAN FRANCISCO
1959年10月18,20日録音
CANNONBALL ADDERLEY(as) NAT ADDERLEY(cor) BOBBY TIMMONS(p) SAM JONES(b) LOUIS HAYES(ds)
1.THIS HERE
2.SPONTANEOUS COMBUSTION
3.HI-FLY
4.YOU GOT IT !
5.BOHEMIA AFTER DARK

追伸、
私も閉店前に一度おじゃましたいと思うのですが、現実は難しい状況です。お近くにお住まいの方で、行く機会がありましたら、その時のお話しをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。


夕張を思い

2006年12月07日 | j-l

今日は天気予報がみごとにはずれ、朝から曇り空。陽が入らないと家の中が寒いと、母など朝から愚痴しきり、天気にあたったところでどうしようもないでしょうに。
二十四節気のひとつ『大雪』にあたるという今日、雪が降らないだけでも良しとしなさいよ。
出がけに冷たい外気を大きく吸うと、たしかに冬の香りを感じます。
「そりゃそうだよな、12月になったばかりと思っていても、もう7日も経っちゃうんだから」
こうしてあっという間にクリスマス、年末、新年とあわただしく時は流れていくのでしょう。

「バブさん、どうにも腑に落ちない」
朝、新聞を読みながら同僚がそう嘆きます。
どうも、道路特定財源の一般財源化に腹を立てているご様子。
彼曰く、どう考えても地方の住民のほうが、個人でガソリンを買う機会が多い、なぜなら都会のように交通網が整備されていないし、車は勤め人の必需品になっている、いや、買い物だって車無しじゃままならない。年寄りなんか病院に通うバスすら無くなろうとしている。収入が少ない上に、必需品から税金を取られ、さらにそれが自分の生活範囲内で使われるならまだしも、結局は人数割りしても、人が多く集まる都心部の財源に使われるのがおち、「田舎住まいはバカを見る」の典型ではないかと言うのです。
まぁ、都心部の財源に使われるというのは極端としても、彼の言い分もわからなくはありません。
まったく次元は違いますが、夕張市の財政破綻に苦しむ市民もまた、田舎住まいの庶民です。

「じゃあ、○○大先生はどうすればいいと思うの?」
彼の意見はこうです。
道路特定財源を一般財源に切り替えるくらいなら、道路特定財源を全廃して、贅沢品の消費税を切り上げればよい。現在、贅沢品の消費を支えているのは、一部の人間だけなんだから。
「ふむふむ、でもね、それじゃ大先生方は票につながる道路財源も無くなるし、だから、来年の選挙が終わるまでは、一般財源化も反対みたいな顔して通すんじゃないの票のために。仮にその後反対し続けて造反組になっても、またすぐ復帰できるしさ、一般財源化にはもともと反対じゃなかったけど、法案が悪かったから、とかなんとか言っちゃって(笑)」

そんなこと言ってて、帰ってニュースを見てみれば、明日にでも与党合意だそうで、なんだかなぁ

私の車も年明けすぐに車検、また重量税は取られるは、ガソリンの値段はいっこうに下がらないは、病院の医師は都会に逃れ、お年寄りの使うバスは、経営難で路線廃止、都会より物価が安いという話も今や伝説、就職先も何もないから、自分の息子に返ってこいとも言えない、夕張を思えば文句も言えないけれど、たしかに田舎の庶民のお先は真っ暗です。景気が良くなっているというけど、庶民の景気はいつになったら良くなるんでしょうね。

あらららら、なんだか母のように愚痴っぽくなってしまいました。
夕張市民の苦難を他人事と済ませられない田舎の庶民、たまにこんな愚痴も出てしまうんですよ。
ともかく、
「○○君、だからこそ、君たち田舎の若者が頑張らなくちゃいけないし、大先生を選ぶときもよくよく考えて票を投じるべきなんだよ。」

さて、今日の一枚はミルト・ジャクソンとコルトレーンの共演盤です。
ミルトとコルトレーンは、ガレスピー楽団でいっしょに活動していたバンド仲間ではありましたが、その後は接点もなく久しぶりの対面ということになりました。しかし、この間の二人の変化は周知の通り、久しぶりの共演は二人にとってどんなものだったのでしょうね。
コルトレーンにとっては、アトランティックとの契約後、最初のレコーディングということになりますけど、1956年からコルトレーンとの契約を切望していたという、アトランティックのネスヒ・アーティガンがなぜ、コルトレーンの最初のレコーディングに二人の共演を考えたのか?
ともかく、以降のコルトレーンのアグレッシブな面は、ここでは見られませんが、ある意味お互いに一つのピークを迎えつつある時の共演ですから、それなりに楽しめるアルバムだと思います。

BAGS & TRANE
1959年1月15日録音
MILT JACKSON(vib) JOHN COLTRANE(ts) HANK JONES(p) PAUL CHAMBERS(b) CONNIE KAY(ds)
1.BAGS & TRANE
2.THREE LITTLE WORDS
3.THE NIGHT WE CALLED IT A DAY
4.BE-BOP
5.THE LATE LATE BLUES

おまけ、
上の写真は、我が母が暇つぶしにつくったものです。
本人にとっては満足いく作品なのか、玄関に飾っておりました。


楽しい昼休み

2006年12月06日 | y-その他

今日は、久しぶりに知り合いの喫茶店で昼食をとりました。
「バブさん、秋吉敏子のビックバンドなんて、なんか持ってる?」
以前にも話をしたことがあったと思いますが、このマスターもなかなかのジャズ好きで、店内に流れるBGMもジャズ中心です。

「秋吉敏子が、ジャズマスター賞とかいうのをとったんだってね。」
今朝、マスターが仕事前にテレビを見ていると、小倉智昭の番組に秋吉敏子が出演して、生演奏を披露したそうなんです。
「へぇ~、朝に秋吉敏子ねぇ」

「いやね、それを見ながらよくよく考えてみたら、コンボ演奏は聴いたことあるんだけど、ビッグ・バンドって、ほら、俺、あんまり聴かないでしょ。バブさんならなんか持ってるかと思って」
ということなのです。

昼食後は、しばらく秋吉敏子の話で盛り上がりました。
「マスター、去年だったか、NHKの教育で秋吉敏子が毎週なんかやってたの知ってる?」「知らない、知らない、何それ?」

家に帰って確認してみたら、昨年ではなく、一昨年の6月から7月にかけての番組でしたが、NHK人間講座で『私のジャズ物語』と題して、秋吉敏子の番組をやっていたのです。偶然にも、私は毎回ビデオに録画しており、本も買っておりました。

「ビック・バンドは、俺も『孤軍』くらいしか持ってないけど、そのビデオと『孤軍』と・・・・モカンボのジャムセッションでも持ってこようか?」
「お願いできる?コーヒー一杯おごるから、ところでモカンボってなに?」

正確には「THE HISTORIC MOCAMBO SESSION '54」というアルバムですけど、日本の「ミントン・ハウスのチャーリー・クリスチャン」と呼ばれる、横浜のクラブ「モカンボ」で1954年に行われたジャム・セッションの記録アルバムであります。(以前に我がHP『ジャズ四方山話』でも取り上げていますので、よろしければご覧下さい。)

ともかく、ザッとそんな話をすると、こんどはマスターが店の奥から何かを持ってきました。
「バブさん、こんなの知ってる?」
『20世紀日本ジャズ大系 』なる、12枚組という、何だか凄いCDボックスでありました。
「なんじゃこりゃ」

お借りしてまいりましたので、内容はゆくゆく紹介するとして、日本のジャズ・バンドをほとんど聴かない私には、新鮮に聴けるかもしれません。
頼まれ品は、明日にでもお届けしましょう。

それにしても、秋吉敏子が「ジャズ・マスター賞」「ジャズの生きた伝説賞」に選出されたのは10月、日本人が選ばれる事はまず無いだろうと言われていた賞ですから、なんだか私まで誇らしく思います。
そんな話や、ジャズ喫茶『ちぐさ』の話やらで、昼休みはあっという間に終わってしまいました。

さて、ということで今日の一枚は、「孤軍」です。
秋吉敏子に、「ジャズ・ミュージシャンとしての私が創るものは、私の歴史でなければいけない、同時に私の日本人としての歴史であるべきで、さらにユニバーサルなものでなければいけない。」と気づかせてくれたのは、デューク・エリントンだったそうです。
そんな想いでできあがったのが、このアルバムなのでしょう。

彼女のビッグ・バンドが、ニューヨークに進出するきっかけとなったのも、このアルバムです。MJQのジョン・ルイスにこのアルバムを聴かせ、1975年、『モンタレー・ジャズ・フェスティバル』に招待を受けました。そしてさらにルイスの推奨で1977年、すでにニューヨークに会場を移していた『ニューポート・ジャズ・フェスティバル』に出演、これが、彼女のビッグ・バンド、初のニューヨークでの演奏でした。
まさに、その後の彼女の活躍は、このアルバムに始まったのでした。

KOGUN
1974年4月4日録音
TOSHIKO AKIYOSHI - LEW TABACKIN  BIG BAND
1.ELEGY
2.MEMORY
3.KOGUN
4.AMERICAN BALLAD
5.HENPECKED OLD MAN

追伸、
個人的趣味で言わせていただくと、私はコンボでの秋吉敏子を好みます。ビッグ・バンドを解散され、ピアニストとして、もう一度挑戦するという、彼女の心意気には頭が下がりますし、指の病気、年齢にも負けずに今後も活躍されることを、一ファンとして期待しています。