毎日のできごとの反省

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常勤の派遣社員は矛盾

2008-09-19 19:50:22 | 社会

http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~k-serizawa/index.html
 今や日本の企業は、派遣やパートに支えられている。それはコストが正社員に比べて安いからである。それでは、派遣やパートのコストを安くできるのは何故か、皆さん考えたことがあるだろうか。例えばある会社で一年のうち、忙しいのが二ヶ月あり、その時期に必要な人数を正社員として雇っていたら、残りの10ヶ月は正社員が大量に余る。

 ある食堂で昼と夕しか、客が多くないとすれば、忙しい時期に合わせて調理人やウェーターを雇うと残りの時間には客より従業員が多い状態になり、これもコストの無駄である。さて一般には前者の場合には二ヶ月だけ派遣を雇い、後者の場合には昼と夜の忙しい間だけパートを雇えばよい。

 だがこれは、雇う側に都合が良く、派遣やパートをする側には、残りの期間や時間帯に仕事がなくなるのだから、年収が少なくなり生活が困難になる。そこで派遣の場合には、人材派遣会社に登録しておけば、残りの時期は別の会社に派遣されていれば、一年通しで働くことが出来る。パートの場合には、子育ての終わった主婦などで、一日働くのはいやだが、少しは働きたいというニーズがある人を雇えばよい。あるいは学生アルバイトである。ちなみに英語でアルバイトはパートタイマーという。

 これで雇う方も雇われる方も、両方ハッピーである。これが派遣やパートが始まったそもそもの論理のはずである。ところが実態はそうではない。派遣の多くが通年どころか、同じ会社で何年か働いているケースが圧倒的に多い。派遣が常勤化している。これは派遣の本来の姿ではない。派遣がいつもいるような必要がある仕事の量が常時あるなら、派遣でなく、正社員を雇うというのが本来の姿である。

 ところが現在の多くの企業では、派遣と正社員が区別がつかない状態で働いている。派遣は必要な短期だけではなく、正社員がやるべき常勤の仕事をしている。当初延べた理屈によって派遣社員の雇用がコスト削減になるなら常勤の派遣はコスト削減にならない。そんなことはない。コスト削減になるからあえて正社員を採用しないのである。

 最近は色々な圧力により改善されているものの、派遣には会社の経費を払わないことにより、諸経費が減らして正社員よりコストがかからないから、安上がりになる。以前は保険のたぐいもほとんどかけられていなかった。要するに正社員より悪い労働条件が可能なため安上がりになるのである。

 それでも改善されない事はある。派遣は一定の期間いると別な人に代わる。つまり同じ数の派遣がいるにもかかわらず、同じ人が定住する事は少ない。これにもからくりがある。正社員は年をとるから、年功序列で昇給する。しかし派遣は交代するために年をとらないのである。そうではなくても、派遣は技能で時間給が査定されるから、実際には年齢は考慮されない。

 いずれにしても、派遣はいつまでいても年功により昇給しないから、派遣の給料は低いまま抑えられる。このように派遣の存在は、現代の日本の矛盾を凝縮している。繰り返すが、常勤の派遣は正社員そのものである。最近、このようなケースで派遣を正社員にする動きがあるのは当然のことである。



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