雑誌WiLL平成27年の2月号で、朝日新聞の誤報問題について、櫻井よしこ氏と元朝日の山田氏が対談していた。もちろん山田氏は朝日を擁護するのだが「・・・権力が暴走していくのをぎりぎりで止める大きな役割を果たしてきたと思います。」というのだが、その権力とは警察などの国家権力である。ジャーナリズムが国家権力を監視する、というのはよかろう。
だからそれが、朝日新聞が反日になる理由である。ある人たちに言わせると一般の記者などは、イデオロギーに染まって反日になるのではなく、反国家権力と言う立場から、反日になるのだそうだが、山田氏の見解はそれに符合する。反国家権力、それもよかろう。全ての権力に対してなら、である。
ところが問題は、北朝鮮や中国の権力に対しては、反権力ではないことである。朝日は反米である、と言われるが、反日に比べれば程度が軽い、とすら言いうる。あらゆる国家権力に比べると、日本の国家権力に対するのが、一番ひどいのである。日本について評価すべきものは黙殺して、批判するネタがあると誇大に書き連ねる。
原爆投下や東京大空襲は明確に民間人をターゲットにした、残虐行為であり、国際法に明白に違反している。それですら残虐行為の張本人の米国を非難せず、日本が戦争を始めたから仕方ない、という見解である。朝日が反米であるより、より反日である、というのは、この例で明白であろう。 吉野作造であったと思うが、愛国者であるが故に政府を批判する、と言った。しかし、外国と敵対している時は、無条件に日本政府の味方をするというのだ。
当然であろう。反政府が利害の一致しない外国を利することになっては、いけないのである。ところが現在の朝日は違う。反日であるばかりではなく、反日の結果、日本と利害の一致しない外国の味方をすることである。竹島は日本の固有の領土あることは明白であり、実効支配している韓国と日本政府は争っている。
ところが、朝日のコラムには、竹島を韓国にくれてやった方がいいかのごときことを書いた。反日が高じて、とうとう韓国を利することまで言いだしたのである。朝日の反日は、それ自体が問題ではなく、意図しているか否かには関係なく、明白に利害を異にする外国を利していることである。