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艦上機の機能分化は日米海軍の先見の明

2015-01-17 13:41:04 | 軍事技術

 英海軍は複座の艦上戦闘機あるいは、艦上戦闘爆撃機なる珍機種を次々と開発した。あるいは、ファイアブランドなる巨大な艦上戦闘機を開発した。これは戦闘機としては使い物にならず、結局雷撃機や艦爆として使われたが、単座なので中途半端であった。根本的には設計思想の混乱や、他機種からの転用が原因である。しかし、屁理屈をこねられないでもない。空母に搭載できる艦上機の数は限られている。すると、制空、雷撃、急降下爆撃、偵察などの各機能をできるだけ兼用した方が良い、と言えないこともない。

ところが、戦闘機を雷撃あるいは急降下爆撃と兼用した結果は、戦闘機としては使い物にならない、ということであった。対戦闘機の空中戦で到底勝てるしろものではなかったのである。もちろん、雷撃あるいは爆撃の用途としても使いにくかった

 日本海軍はその正反対をいった。つまり、艦上機は陸上機より制約が多いから、陸上機より全般的に劣る結果となる。それを陸上機に近づけるためには、機種を用途別に細分化させる、というものであった。この結果、艦上偵察機、という例の少ない機種さえ作った。日本海軍に近い考え方の米海軍でさえ、偵察任務は艦爆に兼用させていた。日米海軍の艦上機開発の思想はシンプルで一貫して混乱が無い。

 英海軍は中途半端な艦上機を開発して混乱し、米国製の艦上機を使わざるを得なくなったのである。さらに、日米海軍は開発や運用にも適材適所で柔軟であった。彗星艦爆の試作機が高速を発揮すると、二式艦偵として採用する一方で、彩雲艦偵も開発した。大戦末期には、艦攻と艦爆を兼用する流星を開発した。米海軍は、ジェット機時代では、ビジランティ艦攻が核攻撃機としても、戦術攻撃機としても中途半端なことが分かると、早々と艦偵に切り替えて活用したし、F-18は攻撃任務も兼用させてF/A-18として使っている。

 英海軍に比べると、日米海軍の艦上機開発には先見の明があった。英海軍の唯一最大の取り柄はハリアーVTOL戦闘機をスキージャンプ台を使用して、短距離離陸、垂直着艦という機種を発明したことだけだろう。それで後継機として、F-35Bが開発されたのだから。


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