毎日のできごとの反省

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反権力マスコミの嘘

2016-09-03 14:56:52 | ジャーナリズム

 現代日本のマスコミは何かと、反権力と言論の自由を振りかざす。世の中にこれほど胡散臭いものはない。有名なジャーナリストは、日本の首相を何人も辞職に追い込んだと、反権力を自慢げに語ったのを、ある評論家に、それなら最も反権力の監視の対象となるべきは、その男自身だと揶揄していた。図星である。

 日本のマスコミの反権力とは、攻撃しても徹底的に反撃できない都合のよい権力者攻撃である。それも基本的に対象者は日本人だけである。日本の政治家が失言すれば、よってたかって叩く。それも外国の批判を招くから、という外国頼みのものすら多い。しかもその外国と言うのは反権力の言論の自由が全くないから、自己矛盾も甚だしいのである。

 現代も含めて、支那の歴代王朝には、公式史観という言論統制の枠がある。現在の王朝の正統性を保証する歴史観である。これに対する批判は許されないから、反権力の言論の自由はない。日本のマスコミが反権力を言う時に最もよく持ち出すのが、現代中共王朝の歴史観に日本の政治家の言動が反していた時である。曰く、中国から批判をされるぞ、である。

反権力を標榜するときに、批判が絶対許されない他国の歴史観に則っているから、矛盾も甚だしい。井の中の蛙と言ってもいいだろう。

欧米にしても日本人が考えているほどに、反権力の自由も、言論の自由もあるわけではない。言論弾圧もある。戦前米国のミッチェル准将は、戦艦に対する航空機の優位を主張していた。そこで戦利戦艦を演習で爆撃して見事に沈めてしまった。デモンストレーション見学に居並ぶ海軍の幹部は色を失った。ところが、海軍はダーティーなマスコミに金を渡してスキャンダルをでっち上げ、ミッチェルは屈辱の中で退役に追い込まれた。

「東京裁判」で何人もの米弁護士が真摯に日本人を弁護した。大統領を非難する言論すら展開した。その結果、弁護士で米国での職を失った者もいた。大西洋無着陸初横断飛行で有名なリンドバーグは欧州戦争への参戦に対して、ラジオ放送などを通じて反対運動をした。そのため多くの中傷と非難をあび、脅迫までされた。かくほどに米国の言論には、自己の信念を貫くための不利を覚悟の上で戦う人士がいることである。

ロシアや支那でそのような人士がいないこともない。ただ違うのがロシアや支那では例外であり、欧米では例外とは必ずしも言えないことである。さらに違うのはロシアや支那では言論弾圧の程度が違うことである。ソ連崩壊後といえども政権批判をしたために、不可解な死をとげたロシア人はけっこういる。

中共では政権にわずかな批判をしただけで、行方不明になったり、ひょっこり現れて突然前言を翻す、という「事件」が最近頻発している。欧米でも同様な弾圧はないことはないが、ロシアや支那に比べれば例外的と言えることが違う。

これらに比べれば、現代日本のマスコミの反権力とか言論の自由はままごと遊びの類であろう。そもそも日本のマスコミは維新以後、常にその時々の最も強い権力に追従していたのは事実が証明している。戦前のテロで多くの人が暗殺された。暗殺されたのは、どういう人士であったか。政治家、軍人、資本家、金融家である。この中に欠けている有力な職業がひとつある。ジャーナリストである。その原因は、ジャーナリストが常に最大権力に阿っていたことである。同時にジャーナリストが世論を形成する最大権力者であったことすらある。


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