毎日のできごとの反省

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F-2後継機の開発

2019-07-01 23:55:43 | 軍事技術

 現在の防衛政策の課題のひとつが、国産戦闘機開発である。政府は、共同開発であっても、日本が主導となる開発をすることを発表した。しかし、実験機「心神」を実物大の実用機にするには、途方もない予算がいるから無理である。イギリスのテンペスト計画に乗るのでは、日本が主とはなり得ないから、日本の戦闘機技術の継承には無理がある。その後、F-35の追加購入が決まったから、F-35と競合する、主力戦闘機の新規開発は無理だろう。

 軍事研究2018年11月号に「日の丸F-35のお供に中国産JF-17はいかが」という文章が載った。JF-17を輸入するか、同程度の安ものを新造して数を揃え、ハイローミックスにするというのである。これは実現できれば妙案である。航空自衛隊は、旧式化した戦闘機やF-1などと同時に、最新の米空軍機を導入してハイローミックスをしてきたのである。しかも敵対するロシアや中共の戦闘機はF-35ですら、高度に過ぎる。ただし、JF-7の輸入は無理だから自主開発しかない。

 ところで先日初めて株主総会なるものに行った。IHIである。パンフレットにジェットエンジンのプロトタイプの自衛隊納入があったので、開発の段階と実用機搭載の見通しを聞いた。すると、2030年頃、F-2後継機に搭載予定と答えた。なるほどF-2後継機なら言われているし、2030年頃なら遅くても新戦闘機の試作機が完成していなければならない時期だろう。

 調べてみたら試作エンジンXF9-1は推力が、F-2の搭載エンジンより、ほんのわずか大きい。最初からF-2クラス用エンジンを狙っていたのである。F-2は結局、F-15並の高価なものになってしまった。前述のハイローミックスまでとはいくまい。しかし、心神の実用化型は最新ステルス機を狙っているので、F-35の輸入型よりはるかに高くなるだろう。

政府はすでに、F-35輸入とは別に新戦闘機の自主開発、ないし日本主導の国際共同開発を公表している。そこで「主任設計者が明かすF-2戦闘機開発」と雑誌「JWings」令和元年8月号の日本の将来戦闘機特集を参考に、新戦闘機開発について考えてみたい。国際共同開発は、開発相手方が問題である。必要条件は中共やロシアのように敵対する可能性のある国ではないことである。また共同開発したものを相手国でも導入使用することである。この両者を満たすのは難しい。後者には、それなりの技術力と資金力が必要である。

パキスタン、台湾やイスラエルは技術的可能性はあっても政治的に無理だろう。ヨーロッパでは英仏独伊は除かれる。各々独自開発やヨーロッパ域内共同開発があるからである。すると、スェーデンが残る。グリッベンはあくまでも第4世代だから、第5世代機は必要と考えられる。非西欧国家で航空機開発の実績があるのは、ブラジルくらいのものだが、実力は怪しい。

米空軍は無理でも、F-35を導入せず、F/A-18を使い続けている米海軍があるが、艦上機である、という特殊性と、独自に飛躍的なものを考えているだろうから無理である。結局残ったのは、神田氏がF-2開発で述べているように、独自開発を模索することだろう。小生には共同開発の相手としては、独自開発を理想としながら結果的には米英の技術に依存しているスェーデン位しか考えられない。神田氏によれば、共同開発には言語の問題が相当なものであると言う。結局は英語を使うしかないのだろう。またスェーデンの場合、高速道路からの発進や山岳地への格納など運用上の特殊性がある、という日本とは相反する条件があるから、設計条件が具体的になると難点が現れると思われる。

共同開発を諦めて自主開発にするなら、調達機数の不足も含めて、恐らくF-35の直接購入より高くても、能力はより低いところを狙わざるを得ない。共同開発にしても自主開発にしても、これまでの経緯から、エンジンはIHIが開発中のXF9の実用型を使いたいだろう。すると、機体規模はF-2と大差ないものとなる。盛り込むべき新技術については、JWingsの特集号に書かれているので省略するが、あくまでもF-35を補完するものとして、コストの削減を考慮すべきと思う。

小生は、工学の最低限の素養はあっても、軍事や航空工学については専門外なので、ここではF-2後継機の内容よりも、気になる米国の圧力について考えてみた。F-2は政治的圧力によりF-16ベースとなった。F-2後継機についても同様なことが考えられる。最近になって、F-35はノックダウンすらやめて、直接輸入にしたことと、F-35の購入機数も増加したことが気になる。これは単に安倍政権が、トランプ大統領に阿って赤字削減策としただけなのだろうか、ということである。

希望的観測をする。何回も言うがその少し前から政府は新戦闘機は国内開発ないし、日本の主導による国際共同開発、ということを発表した。しかし、それに対するアメリカの風当たりがあまり強くないように思われるのである。これは新戦闘機の開発方針が、F-35の購入とセットになっているのではなかろうか、と想像する。つまり、F-35の輸入拡大の見返りとして、米国に日本主導の新戦闘機開発を許容させたのではないか、ということである。

このような取引はまともに考えれば屈辱的であろうが、世界の軍用機開発の現状や日本の戦闘機開発の技術力の維持と言ったことを、長期的総合的に考えれば、許容すべきものではなかろうかと思う次第である。新戦闘機開発の方針は令和二年に決定される予定である。小生の希望的観測が当たることを願う。もっとも小生の希望は滅多に実現しないと言うジンクスがあるのだが。