米国メディアは「プーチンは戦争犯罪者だ。国際法廷で裁判にかけよ」と叫んでいます。それを言うならば、裁かれなければならない大物の戦争犯罪人が世界にはウヨウヨしているではありませんか。
軍事目標に限定せず、一般市民をも爆撃する、いわゆる、戦略爆撃の歴史はドイツ空軍のスペイン都市ゲルニカ爆撃(1937年)に始まり、1939年から1940年にかけての日本軍による重慶爆撃、ドイツ軍によるロンドン爆撃、英国軍によるハンブルグ爆撃、米英国軍によるドレスデン爆撃と続きました。日本海軍の真珠湾爆撃は、戦略爆撃ではなく、明らかに、戦術爆撃でしたが、太平洋戦争における、米軍の日本国内爆撃は完全に意図的無差別爆撃でした。東京大空襲、・・・、広島、長崎への原爆投下、全ては1990年に死去したカーチス・ルメイ米国空軍大将の総括指揮のもとに行われました。私の住む福岡市も、終戦直前の1945年6月19日から20日にかけて、大空襲を受け、1100人以上の死者行方不明者が出ました。私もその恐怖に曝され、親友の姉(中学生)は直撃弾で亡くなりました。
そのカーチス・ルメイに、1964年、日本政府は勲一等旭日大綬章を贈りました。「日本の航空自衛隊を育成した」と言うのが贈呈の理由でした。今のプーチンが出来るだけ戦略爆撃をしないように努力しているのは、西側の宣伝放送画面自体の現状がそれを明確に示しています。プーチンが戦犯裁判の対象であるならば、カーチス・ルメイの戦犯罪状はプーチンとは比較にならない程重大なものです。死人を裁判にかける事は出来ないと言うのであれば、裁判にかけるべき戦争犯罪者は幾らでも生きてします。イラクとリビアの事を考えただけでも、マデレーナ・オルブライト、コンドリーサ・ライス、ヒラリー・クリントンの3人の女性前米国国務長官、また、ノコノコと臆面もなく広島にやって来た稀代のコンマン前大統領バラク・オバマも明らかに重罪の戦争犯罪人です。
私が毎日訪れているサイトとして二つ:
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/
https://libya360.wordpress.com
挙げましたが、勿論、他にも幾つかあります。私は困難な状況を強いられているシリアという国とシリアに関連してクルド人問題に強い関心がありますので、私にとって貴重な次の二つのサイトも毎日読んでいます。その一つはクルド人の偉大な指導者アブデュッラー・オジャランの革命思想に忠実なクルド人たちの声を代表していると思われるANFNEWS:
であり、もう一つは青山浩之氏(東京外国語大学教授)の主宰する
http://syriaarabspring.info/?p=42201
です。このサイトに、最近、大変興味深い記事が出ました。それは、“「アサド大統領が「教師の日」に合わせて演説(2022年3月17日)”という記事です。それによると、シリアの大統領はシリアの「教育の日」に合わせて、20年以上にわたって教職活動に従事してきた全国各県の教員、優秀な新任教師、カリキュラム開発・作成者、教育部門関係者らを前に演説を行ないました。次のように始まります:「人、心、思考を作る戦いの兵士、無知や後進性にかかる諸概念を矯正する戦いの兵士、我々の自我、文化、帰属を防衛し、我々の子供たちを意識、科学、知識で守る兵士であるみなさん教員を歓迎する。教員の日を祝しておめでとうと言いたい。」
この記事の全文を以下にコピーしたいのですが、版権のこともあり、上のサイトに直接アクセスして、ぜひ全文を読んでください。ここには、私が特に関心を持った部分を抜粋させていただきます:
***********
過去200年に及ぶ世界の問題のすべての原因は、西側が自らの利益を実現しようとして常に行ってきた戦争、占領、殺戮にある。何らかの問題について話したいと考える時、現代との共通項について話さざるを得ない。それは第1に、世界の苦しみの原因、今述べた通り、西側にあり、第2に、オスマン帝国が1916年に出て行って以降、シリアやこの地域で100年半にわたって続いている我々の苦しみが、フランスによる直接占領から今に至るまで、シリアへの陰謀を止めようとしない西側諸国に結びついているからである。また、西側は今日、より厳密に言うとウクライナでの戦争以降、自らの役割、存在、イメージにかかわる歴史的分岐点に立っている。シリアとリビアでの戦争は大きな影響を及ぼした。だが、ウクライナで今起きている戦争は、西側の役割にとって完全な分岐点だ。ソ連崩壊は重要な分岐点だったが、西側は自らが協力(強力?藤永)だと考えていた。だが、真の変化は第二次大戦の時から起きていた。今回は第2の大きな変化だ。すべての問題と混乱が西側と関連しているので、それに関連したいくつかの点を指摘したい。我々シリアにとって、そのほとんどは古くからあったもので、真新しくはない。だが、西側の民衆にとってそれは新しいものだ。世界でだまされてきた多くの人々にとっても新しいものだろう。それは、数日、数カ月、数年ではなく、おそらく数十年にわたって、我々がそれに依拠して自らの未来のヴィジョンを作り出しているものだ。第1の点は、帝国主義的な西側…、私がこういう時、国民のことを言っているのではなく、西側の体制、西側の政策を主導する組織のことを言っているのであり、西側という時も、それらと緊密に動いている組織、ロビー、政府、あるいは体制のことをいっているのだが、その帝国主義的な西側は歴史を経てもいまだにまったく変わっていないということだ。いかなる変化も起きていない。違うのは、米国が1950年代に英国とフランスにとって代わり、これらの含む西側諸国が米国の政策に従属し、西側がそれ以前にも増してウソ、偽りを言うようになり、巧妙な仮面を身に着けて、様々な国民を従属させ、数十年にわたってそれをやり通してきたことだ。
西側は今日、人道的な概念を多用している。だが、世界の諸国民に対してこれまで以上の犯罪を行っている。しかし、実際のところ、数十年にわたって纏い続けてきたこうした仮面はいずれもシリアを一度たりとも騙すことはできなかった。これがシリア、そしてシリア国民との西側との問題だった。しかし、シリアで起きた様々な出来事によって、西側はこの仮面を徐々に剥ぎ取られることを余儀なくされた。ウクライナの戦争が始まり、西側は残った仮面も一度で剥ぎ取られてしまった。西側はまずはその民衆の前、続いてそれ以外の諸国民の前で完全に裸の状態となった。だが、仮面を剥ぎ取られた代償は大きかった。仮面を剥ぎ取られたことで、第二次大戦以降に築かれることになった西側のウソのプロパガンダの基礎が破壊された。第1に、西側は国際法にまったく関心がなく、もっとも多くを破壊してきたことが立証された。我々が西側という時の筆頭は米国だ。米国は過去数十年にわたって国際法の制度をもっとも踏みにじり、世界を密林へと変貌させた。若干のロマン主義と単純さをもって次のように自問する者もいるだろう。ウクライナへのロシアの介入の法的正統性、法的根拠は何なのか、と。我々は法律というのが文言ではなく、実行であることを知っておかねばならない。つまり、国に成文法があっても、司法がなく、判事も警察もいなければ、法律に何の価値があるのか? そのような国は密林同然だ。法律を尊重する者はだれもそうした国に居場所はない。そうした国は法律違反者、盗賊と盗人だけのものとなるだろう。事実、世界はソ連崩壊以降、密林状態で、西側が盗人だった。国際法など存在しなかった。国際機関も何もなかった。実体がなく、適用もされていない国際法について話すことは、意味のない言葉を発するようなものだ。ロシアの首脳らは15年前から公然と名言(明言?藤永)してきた。西側がめざす政策は力の政治だ、と…。彼らが世界を密林に変えようとしているのだ。西側がよりどころとするもっとも重要な基礎の一つである表現や言論の自由について言うと、それは深淵に陥ってしまっている。少なくともジョージ・ブッシュ・ジュニアが20年ほど前に現れてから、アラブ世界全体が、政府、ロビー、企業、メディア、そして最近ではSNSから発信される一つの意見によって、同じ方向へと動かされた。数千万人が暮しているにもかかわらず、一つしか意見がない民主的なこの西側とはいったい何なのか? 米国がシリアに怒ると、世論全体が、突如として同じ概念を駆使してシリアに反対するようになる。
**********
注意を喚起したいのは上の引用の中にはっきり述べられている「ウクライナ戦争が始まり、西側は残った仮面を一度で剥ぎ取られてしまった」という事実認識です。これは私が『プーチンの一分』で指摘した“終わりの始まり”と同様の認識です。私は、現アサド大統領が医師の卵として英国で勉強をしていたのに父親と兄の相次ぐ死亡によって、やむなく政治家になった頃から、この人物の言動をフォローして来ました。私はこの男に希望と信頼を置いています。もしもオジャランの革命運動が大きく成長した時には、アサド大統領が、かつてのスペインのフェリーペ二世のような革命弾圧に踏み切る事は絶対にないと私は信じています。
藤永茂(2022年3月20日)
対極にあるのが日本を始め欧米の政治家、支配層ですが、メディアが価値観の転倒を公共性という名で行うので困ったものです。
共産党はどうしたのでしょう? 真実はどこにあるのかと知る努力を放棄していますね。
https://tanakanews.com/220322ukraine.htm
一度ご覧になることをお勧めします。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
米英金融資本の手先として活動してきたチュバイスがロシアを離れた
確かにおっしゃるとおりですが。
アサド大統領についてはロシアが参戦しその真っ最中にアレッポ難民問題・ホワイトヘルメット等の報道と共に
たしかNHKが「アサド長時間インタビュー」を放送しております。
それを見た少なからずの人々が例えばyahooニュースコメントでも、驚いた!意外だ!の感想が多かった。
曰く「知性教養があり残虐者とは思えない、国民思いだ、嘘をついてるように見えない」等々。
元々アサド人物像は(父とは違い)そのような評判に聞いてましたが、
まさかあの時点でその物ズバリが放送されるとは!?と首をかしげました(笑)
確かに主流のTV・新聞は見るに堪えないですが、その間を縫って真実は意外なところに落とされたりもします。
諦めずサボらずに探し続けなくては、とも思っております。
”アメリカ軍人保護法は、米国大統領が「国際刑事裁判所によって、国際刑事裁判所に代わって、または国際刑事裁判所の要請により、拘留または投獄されている米国または同盟国の職員の釈放をもたらすために必要かつ適切なあらゆる手段」を使用することを許可します。この認可により、この法律は「ハーグ侵略法」と呼ばれるようになりました。”
更に、二国間免責協定を作って、ICC協定加盟国を個別に脅し、米国人の戦争犯罪をICCの対象にすることに協力しないという約束を取り付けました。この協定が102の国に押し込まれた一方で、脅迫と報復に負けず締結を拒否した国が52あったとのこと。後者が米国の強要を拒絶したのは、自国が米国による戦争犯罪の脅威にさらされているためでしょう。
このような米国ならではの恥知らずなふるまいは、米国が世界中を侵略し戦争犯罪を犯しており、今後もやるからこそでしょう。
で、こんな恐ろしいことは、ロシアも中国もやっていないでしょう。
米国と言えば、(キリスト教)原理主義で「明白なる運命」(米国版八紘一宇)とモンロー主義(俺のシマ(南北米大陸と島々)には指一本触らせないし、組員が俺に逆らったら「棍棒」でぶちのめす)であります。ダーイシュのようなイスラムジハーディストでも、白人国から攻撃されない限り汎イスラム圏内の話ですし、中露は自分のシマの外には手を出す気がない。
「神が世界を征服しろ」と米国に命じられたから征服しますなんて公言、無茶苦茶言って実行し、これが正義で文句を言う方が悪いなんて押し込んでくるのは米国だけです。
ですが、名誉白人の国では、左右朝野を問わずレイシズムに裏打ちされたNATOメガネを通して世界を見ているので、米国人でもないのに「そうだ!そうだ!」になってる。
なぜこうなったかと言えば、イラク派兵名古屋高裁違憲判決が示すように戦後は遅くとも2004年に終わっていて、次の戦後に入ることなく自覚無き戦時体制に入りっぱなしになっているからだと思います。だから、お上に文句を言う奴、逆らう奴は悪いとか、メディアが一色に染まるということになっているのでしょう。もう一つ言えば、自民が意識的にやってきた「
セルフ経済制裁」の影響。中東に詳しい記者の観察と考察によると”経済制裁を掛けると平民は非常に苦しくなるので、生き残るべくリソースと権限を独占する独裁者に縋りついてお零れを奪い合うようになります。そのため制裁がきついほど独裁者の支持はむしろ高まる。一方、反政府運動は暇と金が生存のために奪われてしまうので、存在自体が難しい”そうです。現在、本邦で起きていることはこれでしょう。企業にせよ、自治体にせよ、個人にせよ、みんな政府自民党に縋りついてインチキ含みで補助金、減税、許認可、税金仕事他を奪い合っています。こういう世界では縁故重視のインチキは支持をむしろ上げるでしょう.一方、インチキを憎み公平、公正、科学だ事実だ、法だと小うるさいことを言う批判派は憎まれるわけです。こういう状況ではショックドクトリンも通用しやすくなります。
自民党はさすが狡猾だよなと恐れ入る次第。
コメント有難うございます。お言葉の通り、紛争は非暴力、話し合いで解決しなければなりません。世界の政治家たちにそれを求めましょう。昔、奥州の藤原氏の名君、藤原清衡は平泉に仏国土を建設し、「抜苦与楽普皆平等」を施政の旨としました。良い言葉ではありませんか。 藤永茂