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生きること:過去と未来とエスペラントと

ボタン

2014-04-23 10:08:39 | 家族・友人・私
五月、孫Mの誕生日です。またまた贈り物を送る季節になってしまいました。彼女は誕生プレゼントと同時に日本から送られてくるお菓子を楽しみにしているのでお菓子を送らないわけにはゆきません。彼女は小学2年生になりました。命がある限りお菓子を送り続けるのが祖母としての運命かとも思います。先日息子からメールにMが最近夢中になっているのは編み物・縫物・陶芸です。おもちゃ遊びは全くしませんのでおもちゃは送らないでください。できたら私が使った道具とかをもらえたら喜ぶと思います。最近鉤針でですが自分の帽子を編みました。何か道具をもらっても使えると思いますという事でした。私はいつもSAL便の小形包装物で送ります。これですと長い時にはベルリンまで約3週間必要です。ですからもう贈り物の準備はできていました。ですか、娘の趣味に合わせて材料を準備するのは息子にとっても大変だろうと思い一工夫しました。荷物が大きくなるので二つに分けました。誕生日の贈り物を一つ、お菓子を一つです。お菓子を入れた箱からお菓子を一つ減らし、そこに古いボタンが沢山入っている缶を入れました。館の模様は花柄、そこに可愛い黒猫がいます。10年程前でしょうか、カナダにいる姪が日本にいる時クリスマスにクッキーを入れて贈ってくれたものです。そして、お菓子とお菓子・箱とお菓子の隙間には詰めものの代わりに小さな毛糸の玉を入れました。ピンク・緑・青・空色・黄色・茶色などです。作品ができるというほどの量ではありませんが包を開いた時きっと驚き喜ぶと思うのです。

 ボタンの入った缶はずっしりと重く、小さな色とりどりのボタンが多分200個以上入っているでしょう。ひろげて眺めた時きっと喜んでくれるでしょう。ボタンには長い歴史があります。50年近く前、児童養護施設で5年半ほど暮らしました。そこを去る時一人の少女今井啓子チャンと言う子が私にくれたものです。私は必要な時にボタンをその中から探して使い、古い洋服から可愛いボタンを見つけた時はそれにたしていました。もしかしたら啓子ちゃんのボタンも混じっているかもしれません。彼女はほとんど笑わず話しかけても仏頂面で答える様な子でした。私は職員が病気の時に助っ人として臨時に働いただけですから彼女ととりわけ親しかったわけでもないのです。引越しの時彼女は自分の宝物でもあったボタンの箱を私にくれました。困った私が彼女の受け持ちの保母さんに相談するともらってあげてと言われました。そしてお礼に鉛筆を渡しても良いという許可も得たのでした。古いボタンを見るといつも彼女を思い出します。彼女の人生は幸せだったとは言えなかったようです。その上40代でがんで亡くなったと聞きました。Mにもいつか機会があったらボタン集めの由来を話してやろうと思っています。
 そしてボタンを見るたびに思い出すのは高校生の頃読んだ中原中也の詩です。うろ覚えでしたので探してみました。


月夜の浜辺

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   月に向つてそれは抛(はふ)れず
   浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁(し)み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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この詩は私も好きで暗唱した者です (verdavojeto)
2014-04-23 21:14:11
何故か涙ぐませる詩です。その心境に共鳴するのでしょうね。

最近の私は体を動かすのは苦痛なので、編み物、と言っても大きな物には取り組めず、皿洗い用の小さなタワシを編んだりしていますが、娘は全くしないし、孫娘に教えたい気はあるのですが、この個も関心は無いようです。作る喜びに何時か目覚めるのかしら、と思っていますが。
お宅のMちゃんはそんなことももう出来るのですね。一つ作って嬉しいと又一つと意欲が広がるでしょうから、上達も早いでしょう。小包を開ける彼女の喜びの表情を想像しています。
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ありがとう! (glimi)
2014-04-24 06:40:16
 喜怒哀楽の激しい子です。おお!おお!と声をあげて喜び、インデアンの子の踊りの様に家中を踊りまわるかもしれません。 
 送る方には楽しませる喜びはあります。
返信する

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