熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

カンディンスキー

2011年06月06日 | アート
コンサートだけではなく、美術館なので展覧会も一応見ました。
タイムリーに学芸員氏によるレクチャーも開講されていたのでそこにも潜入。
1時間、スライドを使って展示作品の説明。
カンディンスキーのお勉強。
途中、意識飛ぶ。

「カンディンスキーと青騎士」というタイトルから思い至らなかったのですが、
いわゆる抽象画家カンディンスキーらしくなるまでの一時期にスポットをあてた展示でした。
マニアックな企画すぎてお馴染の絵がなく、ちょっと物足りず。

企画に上るだけあって、この一時期なかなかのドラマではあります。
陰にミューズあり。
愛妻がいながら、画家仲間ミュンターと運命の出会い。
お互いに刺激しあい、芸術的にも高め合う関係。
恋の逃避行。(芸術家、音楽家に多いですねぇ)
カンディンスキーは自分のスタイルを確立した頃、彼女から去り、若い女性と結婚。
10年そこそこの蜜月ですが、80才になったミュンターは何と長年保管していた当時の彼と自分達仲間の膨大なコレクションをミュンヘンのローカルな美術館に寄贈します。
美術館の価値は飛躍的に跳ね上がりました。
そう!その美術館所蔵の作品展なのです。

学芸員氏も言われてましたが、昔ほどカンディンスキーは注目されなくなりました。
芸術もトレンドがあります。

はるか昔、私が学生の頃、カンディンスキーはクレーよりもずっと評価が高く人気がありました。
抽象絵画の元祖、絵画の流れを変えた人だから、エライに違いないと。
彼の芸術論も有名だったのか、「抽象芸術論 芸術における精神的なもの」というのを読んでレポート提出を命じられ、苦労したことがあります。
本の内容も書いたことも完璧に忘れてますが、名著だと言うもんだから、未だに本はあるです。
訳者による図録を見たら、展覧会で見た一連の名作がない。
それもそのはず、ミュンターさんの寄贈の前に翻訳された本。(1958初版とうに絶版)
ナチスの迫害からも作品を守り続けた情熱のエピソードが間に合わず惜しかったですね。
ご存命であった最後の妻ニーナさんは訳書にも注文をつけていたそう。
彼女も夫の遺作をきっちり整理して守ったお方でした。
後世に残るのも良い女性達に恵まれることが必要です。

この1枚


シェーンベルクのコンサートに刺激されて描いた絵。
黒のピアノやお客とか、まだちょい具象。
当時、画家、音楽家の交流が盛んだったそうです。




お年寄りの発音が「関電好き~」に聞こえた。