陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

08夏の点描Ⅱ 盆灯ろう

2008年08月15日 | slow life

今年もお盆がやってきた。
新聞には
あの日航機の事故から二十三年
と報道されていた。ということは
父が死んでから、もう
二十三年も経ってしまったのかと
改めて歳月の流れの速さに気付く。

そして今年は
母の三回忌を行う。
母が亡くなったのは
京都・五山の送り火の翌日であった。
控えめな母らしく
送り火に少し遅れて旅立ったのだ。

そして今年も
会社の大先輩の墓参に
広島市北部の街へ出かけた。
派手だった先輩には似合わない
意外に地味で小さい墓園だった。
暮園名もついていない。だから
最寄の駅から拾ったタクシーの
運転手に説明するには苦労する。

その小さい暮園の一角に
大先輩はひっそりと眠っている。
東京に居る娘さんから連絡があり
今年はお盆には帰れないと言った。

広島ではお盆になると
彩色豊かな盆灯ろうが
墓園のそこかしこに立てられ
極楽のようにきらびやかになる。
その盆灯ろうが
誰も居ない日中の猛暑の中
山あいからときどき吹き抜けてくる
夏の風に揺れていた。

卒塔婆に名前を書いて供え
買ってきた花を手向けた。
花はすでに先人が供えており
まだ枯れていなかったので
そこに差し加えることにした。

合掌…。
昼下がりの静寂な炎暑の中
せみ時雨だけが聞こえていた。

こうして年に一度。
あの世へ旅立った人を偲び
そして乞う。
心の中では、両親もあの方も
ずっと生き続けているのだと実感する。
それがお盆なのである。
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