俳人は枯蓮が好きである。
冬の池に枯れそして折れた枯蓮なんて
俳人以外なら見向きもしない風景である。
早く刈り取ったらいいのにとさえ思うだろう。
実際に刈り取られていることが多い。
京都は長岡天神の八条ヶ池には
中国から送られてきた紅蓮がある。
大振りの見事な蓮なのだが
その枯蓮がそのままに残っていた。
まるで矢尽き刀折れたその姿。
世の無常を重ねてしまう光景。
池をまたぐ橋の上から、枯蓮の辺りを
じっと見つめていると怪訝に思う視線。
枯蓮を眺める人はそうそういない。
もしいれば、それはきっと俳人である。
枯蓮にさざ波寄せてまた離る