“京の年中行事 當る卯歳
吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎”
京都南座・顔見世を観に行く。
私の好きな観劇のひとつである。
歳末の雰囲気漂う四条大橋東詰
南座前には観劇を待つ人で溢れていた。
お弁当もお寿司を買ったし
飲み物も、ふふ。たんと仕込んだ。
これも幕間の楽しみのひとつ。
やはり京都だなあ。
美しい着物美人の姿もちらほら。
ハレの雰囲気が溢れていた。
歌舞伎なんて、若い頃は
全然興味も関心もなかったのだが
年齢を重ねるとはこういうことなのか?
年々歌舞伎が好きになっていった。
何より歌舞伎には様式美があり
日本古来の色彩や意匠が何とも美しい。
それに物語が日本人の心にきゅっとくる
その筋立てがたまらないのだ。
この顔見世、いつもチケットは完売。
本当は四等席が欲しかったのだが
この四等席だけはいつも即完だ。で
今回も三等席。それでもプラチナだ。
今回は三階の一番上の段。ここから
夜の部を上から眺める形で鑑賞する。
第一幕は歌舞伎十八番の内“外郎売“
件の成田屋が例の騒動で降板のため
松嶋屋の片岡愛之助が代役を勤める。
急な話でしかも重責。大変だったろうなあ。
早口言葉の台詞回しには感心しきりでした。
第二幕、“仮名手本忠臣蔵” 七段目
祇園一力茶屋の場。中村吉右衛門だ。
小生、歌舞伎通ではないが、以前
菅原伝授手習鑑の寺子屋を観て以来
吉右衛門贔屓になったのである。
心の中で何度も「播磨屋!!」とかけ声。
実際に声をかける勇気はまだない。
第三幕心中天網島“河庄”そして第四幕
“鳥辺山心中” と男女の世話物が続き
最後の第五幕は越後獅子。
とうとう最後まで観通してしまった。
時間にして何と6時間半の長丁場だ。
4時15分の開演から終了は午後10時40分。
7500円でこれだけ観れたら安いものだ。
しかし如何せん、これを三等席という
飛行機のエコノミー席よりも狭い席で
長時間観続けたのだから、正直
これはちょっとした根性ものである。
三等席以下で楽しむ歌舞伎鑑賞には
狭い座席を耐え切れる体力と腰の
健常さも要求されることをお忘れなく。
つまりそこまでしてもそれだけ価値のある
それが、京は歳末の顔見世なのである。
■観劇記
南座 吉例顔見世 夜の部
三等席8列にて観劇