午後1時過ぎ。
公園はひっそりとしていた。
そこに立つ1本の銀杏の木。
地面に落ちた葉は鏡に映ったようだ。
その後ろを老婦が通り過ぎた。
せっせ、せっせと歩いていた。
銀杏は静かに葉を落とし
人はあわただしく通り過ぎた。
同じ時間なのに
時間が違って感じるのは何故だろう。
象の時間、蟻の時間…。
銀杏の時間、老婦の時間…。
それぞれの冬支度である。
そう言えば、この時期
昨年まで、毎年のように
講座で訪れた池田市公民館。
その二階のブラインド越しの窓から
見えた大きな銀杏の木は
今年も見事に色づいたのだろうか。
過去はすでに回想の中に埋没しても
そこに在る銀杏はまだ在って
そして変わらぬ冬支度をするのだ。
広島市・本川公園にて(写真)