ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『春のめざめ』『岸辺のふたり』

2007-03-04 23:15:58 | 新作映画
(原題:История любовная/Fatner and Daughter)

----あれっ?こういうアート・アニメーションって
苦手だったのでは?
「うん。ドキュメンタリーもそうだけど、
何から語っていいのか
その糸口が難しくってね」

----でも、喋りたくなったんだ……?
「うん。まあ、ちょっと観てよ。
この映像の美しいこと。
まるで印象派の絵画みたいだ」

----ほんとだ。女性はルノワールのようにふくよか。
風景はモネってとこかニャあ。
でも、どうやって描いたんだろう?
「なんと油絵でガラスに描いたらしいよ」
----でも油絵って
描いたら
かちかちに乾くんじゃニャいの?
「うん。でも乾くのが遅いんだって。
だから、それまでの間に消したり加えたりして
撮影していったってことらしい。
まるでゆらぐような映像なんだけど、
それがこの映画のテーマ、
“ 恋する少年”の不安定な心を表現するのにピッタリ」

----へぇ~っ。恋する少年って不安定ニャの?。
「そう、いわゆる
恋に恋する頃だからね。
この映画でも友だちに
同世代の女の子への恋心を打ち明けたかと思えば、
年上の女性を女神として神格化。
そんな中、訪れる初めての体験。
そのめくるめく官能も
アニメーションならではの
流体化する抽象映像で描かれる」

----そうか、この時期の男の子って微熱を帯びてるんだ。
「そういうこと。
大人への入り口に立ち、少年としては
初めて触れた俗なる世界を否定し、
自分の恋だけは神聖なものとして位置づけたい。
ところがそこに<性>というやっかいなものまで入ってくるものだから、
もう頭の中は何がなんだか分からなくなってくる。
もともと恋は理性とは相反するものだから、
この葛藤に整理決着がつくわけはない。
その<ゆらぎ>を表現するには、
この『ガラス絵手法』はピッタリだったね」

----ニャるほどね。
そう言えばこれって二本立てだよね?
「同時上映が『岸辺のふたり』。
これまたまったく違うタッチだけど、
いやあ泣けたね。
ときに夕焼け色が混じる単色の逆光で描かれるのは、
少女の頃、なぜか目の前から去っていった父親との再会を信じて、
その運命の場所を年老いるまで訪れ続ける女性。
わずか8分の中に描かれるその人生は
永遠に心に刻まれること間違いないね」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも驚いたニャ!」ぱっちり

※これはオススメだ度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

※画像はチラシです。