ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』

2007-03-16 23:24:22 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



(原題:Fur: An Imaginary Portrait of Diane Arbus)


「これはのっけから唖然呆然。
まったくもって目のやり場がなかったね…」

----あらら、ちょっとネタバレチックじゃニャい?
「う~ん。だからネタバレ注違報を出したんだけどな」
----そもそもこのダイアン・アーバスってだれよ?
人名がフルで入ったおかげで
とんでもなく長いタイトルになってるけど…。
「うん。実はぼくも知らなかったんだけど、
20世紀を代表する有名な女性写真家らしい。
ダイアンの被写体となったのは、結合双生児、同性愛者、そしてヌーディスト…。
写真集のタイトルもずばり『フリークス』」

----ダイアンも、なぜそういう題材を選んだんだろう
「そう思うよね。
この映画は、ダイアンがフリークス専門の芸術写真家へと変貌したきっかけを
彼女の撮った写真の中の多毛症の男ライオネルとの出会いに求めている。
主人公ダイアンにはニコール・キッドマン。
ライオネルにはロバート・ダウニーJr.。
全身毛むくじゃら、
『美女と野獣』のビーストを思わせるこのライオネルの特殊メイクは
なんと『T2』の大御所スタン・ウインストンが担当している」

----ということはリアリズムでは描いてないんだね?
「うん。そういうこと。
この映画はあくまでダイアンへのオマージュであり、
彼女の写真集からのイマジネーションから生まれたもの。
そのため監督独自のシュールな映像が繰り返し出てくるんだ」

----たとえば?
「ダイアンが住んでいるアパートの部屋から階段を上がって行くと
そこは奇妙な電飾で飾られた、
大きな鍵穴を持つライオネルの部屋。
壁紙もパスカル系からケバケバしい色に変わり、
まるっきり別の建物としか見えない。
一方、同じアパートの地下には両手がない女性が足で掃除をしている」

----まるで大人版『不思議の国のアリス』だ。
「そうだね。
でも、この映画では
こちらと向こうの世界とが繋がっている。
ライオネルの部屋の床からダイアンの部屋の天井へ。
階段でフリークスたちが続々と現れるシーンは
まさに息を飲むほかない。
でも、こういう超現実的な描き方はありだと思うな。
彼女の撮った写真集から
その奥に横たわる精神世界を覗き見ようとしたわけだからね。
あっ、キャッチコピーの
『その下の彼自身に夢中だった』は
あまり変に捉えない方がいいと思う」

----観たら分かるってわけ?
「うん。実に巧いキャッチコピーだと思うよ。
まず、だれもが勘違いするからね(笑)」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーン、観ちゃダメそうニャ」もう寝る

※ニコール・キッドマン、あんたは偉いよくやった度
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