ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『恋する日曜日 私。恋した』

2007-03-30 21:26:01 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がいいかも。


----あれっ、このタイトル、どこかで聴いたことあるニャ。
監督も確か同じ廣木隆一で
『恋する日曜日』というのがあったような……?
「フォーン、スゴい記憶だね。
これは80~90年代の名曲をテーマにした
BS-iの人気恋愛ドラマシリーズ『恋する日曜日』、
その劇場版第2弾。
主演は堀北真希。
彼女が演じるのは死期の迫った女子高生なぎさ。
余命3ヶ月と宣告された彼女は、
父に黙ってかつて暮らした町へと旅立つ。
そこには初恋の人・石川聡(窪塚俊介)がいるわけだけど、
彼に病気のことは告げぬまま、そこに泊めてもらう。
ところがその聡は、
人妻の絵里子(高岡早紀)と不倫を重ねていた……」

----ふうん。難病ものと恋愛か?
確か田村正和14年ぶりの復帰が話題となっている
『ラストラブ』もそうニャんでしょ?
「うん。
あの映画は大人の最後の恋、その顛末だけど、
こちらはいわば初恋とその告白。
まだ17年しか生きていないヒロインの目線だから
切なさはひとしおだ」

----お話はとてもシンプルだよね。
「でも、そこがいいんだよね。
この映画はよけいなものをそぎ落とし、
ヒロインの目から見た世界、そしてその心のゆらぎを写し取っていく。
『当たり前に明日が来るなんて思わないで』。
これはなぎさが聡に言う言葉の中でも、
特に印象に残る言葉。
明日と言う時間が約束されていないなぎさに取っては,
不倫と言う<汚い>ことで<時間>を<無駄遣い>している聡が許せない。
ところが周囲はそれを知るよしもないから
たとえば『20歳になったら一緒にお酒を』(絵里子)のような
ドキッとする言葉が次々と飛び出していく。
あっ、でもこの映画については
あまり語りたくないな」

----えっ?どうして?
「お話がシンプルなだけに、
その魅力を語ろうとすると、
映画の本質的な部分を語ることになるからさ。
ヒロインが泣かないのに泣ける映画----というのが
この映画の特徴のように言われているんだけど、
クライマックスのバスの中で、ぼくらはあることに気づく。
それはこの映画がタイトルどおり、
彼女の<恋>の映画で、
その<告白>の映画だと言うことを。
実はそれに気づいたとき、ぼくの目頭は不意に熱くなり、
そしてその次の瞬間、
映画の中のなぎさにも涙が込み上げると言う
不思議な符号が起こったんだ。
つまり、そこで映画を観ている方と演じている方と、
同じ感情の高まりの一致を見たというわけだ。
なぜ、そうなったのかも詳説したいけど、
これこそネタバレになるからなあ」

----それだけ、このシナリオはそれだけよくできてるってことだね。
「うん。しかも
聡が彼女の病気について
結局は知ったのか、それとも知らないままなのか、
ここもぼかしてある。
実はそれによって最後に交わす会話の意味合いも
かなり違ってくるんだけどね」

----そう言えばこの映画を観て
『ジェレミー』を思い出したって言ってなかった?
「うん。先ほど話したクライマックスのバス内での
なぎさの言葉の中に、
転校していった時のことを
『生まれて初めて自分の力ではどうしようもないことがあるのを知った』とあってね。
これはほんとうに辛い。」

----でも『ジェレミー』はもっとつらかったのでは?
あの頃はメールなんてないしね。

       (byえいwithフォーン)

※追記(3/31):この寂寥感に、ちょっと『ぼくを葬る(おくる)』を思い出しました。

ジェレミー TDV-3253Dジェレミー TDV-3253D
※画像がないのにが残念。音楽もいいです。


フォーンの一言「これは泣けそうだニャあ」悲しい

※忘れられないラストカットだ度
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