ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『SAYURI』

2005-11-28 20:13:33 | 新作映画
----これもまたお正月映画の話題作だね。
最初スピルバーグが監督すると言う噂もあったようだけど。
「うん。結局は『シカゴ』のロブ・マーシャルが監督。
日本を舞台にした映画と言うことで、
主役のさゆりをだれが演じるのかなど、
その注目度はとても高かった。
ところがふたを開けてみると、さゆり役はチャン・ツィイーで決定。
しかもさゆりに敵愾心を抱く芸者・初桃にはコン・リー。
さゆりを導く芸者・豆葉にミシェル・ヨーと中華圏の女優ばかり。
そんなに日本女優はダメだったのかな…少し悔しい気がするね」

----でも男優は日本人がたくさん出ているよね。?
「うん。やはり渡辺謙が『ラストサムライ』で認められたのが
いい方に影響してるのかも。
ヨーロッパではすでに黒沢清映画などで人気が高い役所広司も出演。
でも、映画自体は女優のバトルと言う感じだったね」

----確か、貧しいがゆえに置屋に売られたひとりの少女が
花街一の芸者に育っていくという話だっけ。
「そう。それじゃあもう言うことはないかな(笑)。
姉とも離ればなれ。両親も亡くなって
ひとりぼっちになってしまったこの少女・千代が沈んでいるとき、
優しい言葉をかけたのが会長(渡辺謙)。
『こんな美しい日に、悲しい顔は似合わない』。
その言葉で千代に一瞬の笑みが戻る。
千代を演じる大後寿々花が見せるこの笑顔が実に素晴らしい。
それまで一度たりとも笑った顔を見せていなかった彼女だけに、
観客に強い印象を残す。
そうそう、映像の方もここまでは90%以上が雨のシーン。
しかもほとんどが夜で、まるで魔界のように描かれている。
これは千代から見た視線でもあったんだろうけどね。
さて、ここまでが約45分。
その後、やっとチャン・ツィイーの登場。
再び会長と会う日を夢見る千代に転機が訪れる。
先輩の豆葉が自分を芸者にしたいとオファー。
その真意は、千代を置屋のおかあさん(桃井かおり)の養女にすること。
しかし、おカボ(工藤夕貴)を養女にすることで
置屋を自分のものにしようとする初桃は、
行く先々で彼女の邪魔をして回る……」

----うわあ。醜い戦いだね。あれっ、こういう女の戦いって…。
「そう。『シカゴ』。
ここでなるほどロブ・マーシャル監督が
この作品を引き受けた奥が見えてきた気がしたね。
原作はともかくとして、少なくとも映画は、
さゆりの恋よりも女たちの戦いに力点が置かれていた気がする。
なかでもコン・リーと桃井かおりのバトルは圧巻だった。
コン・リーの演技は『彼女ならなるほどね』で頷けるけど、
桃井かおりは、あの独自の言い回しが英語で抑えられ、
これまで観たことのない、白熱の演技を見せてくれる。
ただ、年月が経つに連れ、若返って見えたのは不思議(笑)。
最初のうちは照明、メイクもあって、正直誰か分からなかった」

----あっはあ、英語なんだ。
「正直、これには最初参ったね。
これまでヨーロッパなどを舞台にした映画で
その国の人たちが感じていたと思われる違和感、
それを最初はイヤと言うほど味わって、
腰が落ち着かなかったけど、
そこはさすがハリウッド大作、
強引な力技でいつの間にか納得させてしまう。
そう、これは「実際の日本の美」でなく「彼らが思う日本の美」。
プレスのコピー、
『ようこそ、ニッポンが嫉妬するJAPANへ----』は言い得て妙だ。
監督も一種のファンタジーとして描いたようだ。
音楽も同じで、最初は和楽器が多く使われ、
またかの感があったけど、次第に慣れてくる。
その白眉がさゆりが多くの観客を前に踊りを披露するシーン。
ミュージカルでならしたロブ・マーシャルらしい、
独自の美学に裏打ちされたステージが観られる。
高下駄でそれを演じたチャン・ツィイーもさすが。
でも、当然ツッコミどころは多い。
今日ほど記者会見に出席すればよかったと悔やんだことは最近なかったな」

    (byえいwithフォーン)

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※画像はイタリアのオフィシャルのダウンロード・サイトより。