ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『プライドと偏見』

2005-11-08 19:05:33 | 新作映画
----これってワーキングタイトル作品なんだね。
あの『ブリジット・ジョーンズの日記』を手がけた……。
「うん。そもそも『ブリジット・ジョーンズの日記』が
この原作『高慢と偏見』を現代版に仕立てたものだからね。
でもこれを観ているとき、ぼくの頭に浮かんでいたのはなぜか『春の雪』」

----えっ、同じジェーン・オースティン原作の『いつか晴れた日に』じゃなくて?
確かにどちらも文豪の名作の映画化だけど…。
「少し話がそれるけど、
映画版『春の雪』は主人公・清顕の評判がめちゃ悪い。
その理由は『子供っぽい』ということ。
好きなのに気がない振りをして、
彼女が手の届かないところに行ったら焦りだす…というようにね。
原作だと、その屈折した感情がなかなかオモシロかったわけだけど…。
この『プライドと偏見』も
男のプライドが恋愛の行方をややこしくしてしまう。
ただ、『春の雪』との違いは、
その気位の高さから出てくる態度・行動に対して、
女が『偏見』を持ってしまうこと」

----ははあ、お国柄の違いなのかね?
「いや、それだけじゃないと思うよ。
やはり個人の資質の問題だろうね。
この映画ではイギリスの田舎町に住むベネット家の5人姉妹が
自分の前に現れた男たちに心ときめくさまが
美しい大自然を背景に描かれる。
この時代、イギリスでは女性に財産相続権がなかったために、
結婚が女性の人生を決定づけるすべて。
そこで母親(ブレンダ・ブレッシン)は
娘たちを資産家と結婚させようとするが……というお話だ」

----父親役がドナルド・サザーランドか……。
ジュディ・デンチも出ているね。
「うん。ヒロインの次女エリザベスにキーラ・ナイトレイ。
ときにイザベル・アジャーニのようであり、
ときにウィノナ・ライダーのようでもあり。
自分を侮辱する男ダーシー(マシュー・マクファディン)に食ってかかりながら、
絶対に認めたくない相手に対して芽生える恋の感情に戸惑う…。
強さとやさしさが同居した、その凛とした美しい姿。
これは、彼女の代表作となりうるだろうね」

----ということは物語はこのふたりを軸に進むの?
「うん。あとは長女のジェーン(ロザムンド・パイク)と
ダーシーの親友ピングリーの結婚をめぐるエピソード、
ダーシーとは浅からぬ縁がある青年将校ウィッカムと末娘リディアとの駆け落ち、
そしてエリザベスに求婚して振られ、
すぐに彼女の幼なじみシャーロットと結婚する
遠縁のコリンズ(トム・ホランダー)の話。
これだけ頭に入れておけば大丈夫だよ」

----あれっ、ジュディ・デンチは?
「コリンズの後見人でダーシーの叔母のキャサリン夫人の役。
名家で金持ちということもあるけど、
鼻持ちならない、それこそ傲慢な女性を
これ以上ないくらいに憎々しげに演じる。
その存在感はまさに周囲を飲み込まんばかりの迫力。
片や同じく名優ブレンダ・ブレッシンは
金の“匂い”に機敏に反応するやり手のお母さん。
そのちょっとした仕種・表情は観客すべてを笑いに包み込む。
さすがイギリスはシェークスピアの国。
剛の演技と柔の演技。なんとも贅沢な共演だわ」

----そう言えば、ロケもすごそうだね。
「うん。デビッド・リーンの映画を思い出した。
映画の中にも『大自然に比べると人間は……』のセリフが出てくる。
映画もそれを生かした大ロングの画が印象的に織り込まれる。
しかも1660年代に建てられた堀のあるレンガ作りの庭園や
いくつもの屋敷・豪邸がそのまま登場。
なかでもキャサリン夫人の屋敷の絢爛たる壁画・天井画は圧巻。
『これを観るだけでも…』と言いたくなるほどのものだ。
時代再現のためCGに頼らざるを得なかった『春の雪』がかわいそうに見えてくる」

----う~ん。ニャるほど。
確かに行定勳監督が観たら羨ましがるかもだね。
                     (byえいwithフォーン)

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