今日も塚口。
明日も塚口。
ずっと塚口。
というわけで今日も塚口に行ってきました。今日見てきたのはこの作品！
本作は、富裕層しか利用できなかった飛行機を、生まれや貧富、カーストの壁を乗り越えて庶民でも利用できるようにするために設立された航空会社「デカン航空」の実話をもとにした作品。
今までたくさんのインド映画を塚口をきっかけに知りましたが、この作品もまた塚口をきっかけに知った作品。
と、作品を鑑賞する前に恒例の壁ポスターを見てみましょう。
壁一面にみつしりとポスターが貼られています。今まで塚口のポスターはたくさん見てきましたが、今までこの3面がここまで埋まったのって初めて見た気がする……。
というかここ最近の塚口の上映スケジュールは1日が24時間であることが完全に頭からすっぽ抜けてるとしか思えず、上映カレンダーを見たものの脳裏に浮かび上がるのは「暴挙」の2文字のみ。
もうサンサン劇場はとっととさんさんタウン全体を乗っ取ってスクリーン数を10倍に増やしたらいいと思います。
そして恒例の待合室はこんな感じ。
見事アカデミー賞視覚効果賞受賞を受賞した「ゴジラ-1.0」を記念して、塚口のファッションリーダー秋山殿がトロフィー片手にゴジラに扮しています。これは5月くらいにはゴジラ映画のラッシュが来る前兆に違いない。
さて、久しぶりに塚口の展示を堪能したあとは本編ですよ。
今まで見てきたインド映画は、激しいアクションシーンが多くありましたが、本作は実話をもとにしているためかアクションシーンはなし。インド映画の特徴であるダンスシーンも少ししかありません。しかし、そのストーリーは重厚で、「庶民のために１ルピーで飛行機を飛ばせる」という志を持った主人公・ネドゥマーランの苦悩と奮闘をしっかりとしたストーリーで見せてくれました。
空軍士官であるネドゥマーラン（マーラ）は、かつて意見の対立で喧嘩別れしてしまった父親を見舞うために飛行機に乗ろうとしますが、高額なファーストクラス席しか空いておらず、結局父の死に目はおろか葬式にすら間に合わなかったという苦い過去を持っています。
そんな苦しみから、マーラは庶民でも格安で利用できる航空会社を設立しようとしますが、その前途には資金難や貧富の差といった壁が立ちはだかり……。
本作の軸となるのはもちろん「貧富の差を打ち破り、庶民でも利用できる格安航空会社を設立する」というストーリーです。しかし、本作にはもうひとつ、「離れてしまった家族の再構築」があると感じました。
前述の通り、マーラはかつて父親と対立し、そのまま死に目にもあえずに母親とも距離が離れてしまいます。彼の夢である「格安で利用できる航空会社」という目標は、ただ単に「インフラの普及」「貧富の差の解消」という社会的な意義のある行為というのみならず、彼個人のパーソナルな感情である「後悔の精算」のためのものだったんじゃないでしょうか。「飛行機なら2時間だが陸路で16時間かかる」という物理的距離は、そのまま彼とその家族のあいだに横たわる心理的断絶であると感じました。だからこそマーラが数々の苦難を乗り越えてようやく飛行機を飛ばすことに成功するラストで、その心理的断絶が解消されるわけですよ。
そうした意味では、本作はいわゆるプロジェクトX的なビジネス成功物語であると同時に、ネドゥマーランというひとりの人物の極めてパーソナルな物語だったと言えるんじゃないですかね。
また、こういう作品では主人公が苦難に陥ったときにたくさんの人々が助けてくれるという展開が見せ場になるわけですが、そういう意味ではマーラのかつての上官であるナイドゥが最高に美味しいポジションでした。というかこういういわゆる鬼教官的な人物はもうその時点で典型的なツンデレであとから絶対最高のタイミングで助けに来てくれることが確定しているキャラなので期待してた通りのタイミングで助けに来てくれた上に鬼教官キャラの法的義務である「無茶をした部下をかばう」もやってくれるのでそういうキャラが好きな人はぜひ見に行ってください。（オタク特有の早口）
