A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

塚口サンサン劇場「映画大好きポンポさん」「ゼイリブ」見てきました!

2021-08-10 23:16:56 | 映画感想

 はい、今日も今日とてサンサン劇場へ。
 8月に入ってからこっち劇パトをはじめとして見たい映画が山ほど並んでて、さらには13日からは花火大会も始まるのでもはや仕事なんてやってる場合では有りません。労働は悪い文明。
 さておき、まずはこの一本。「映画大好きポンポさん」。

 「クリエイターなら絶対見ろ」「映画好きにはブッ刺さる内容」と絶賛されていたので以前から気になっていたんですが、塚口でやるということで今回行ってきました。
 なお、前情報としては「コミックが原作」「映画を作る人々の話」くらいしか知らない状態で見てきました。
 さて感想を。
 まず本作、よくあるような「自主映画を完成させるために奮闘する若者たちの青春群像劇」といったようなものではなく、映画製作ドキュメンタリーに近い内容でした。
 というか舞台が外国ってことも知らなかった……。
 内容は、映画プロデューサーであるポンポさんを軸に、新人映画監督ジーンや俳優を目指すナタリーの成長を映画製作を通して描くというもの。
 まず映像面が非常に強烈。
 文章で説明するのは難しいですが、カットの切り替わりやワイプの演出が映画を撮影しているカメラやフィルムのような演出になっており、本作が映画をテーマにした作品であるということをストーリー面だけでなく演出面でも非常に強調しています。
 そして個人的に印象的で、またなんだか嬉しくなった点が、映画製作にまつわる人間ドラマよりも、編集作業や資金調達といった裏方仕事にカメラの比重が非常に大きく割かれていた点。
 普通こうしたものづくり系、クリエイターものの作品は、ものづくりそのものよりもそれを軸に発生する人間ドラマといった「映える」部分を映し出すものです。
 しかし、本作は前述の通り内容がドラマというよりもドキュメンタリーに大きく傾けた内容となっており、映画の制作過程をこそ大きく取り上げて映し出しているのに驚きました。
 場合によっては「汚い部分」とも感じられる融資や資金調達といったお金が絡む部分も、映画の撮影と同等かそれ以上に尺をとって描写されていたと思います。
 特に、撮影したフィルムの編集作業という裏方中の裏方仕事に大幅にフォーカスを当ててるのが良かった。
 ジーン監督の偏執的とも言えるこだわり、撮影したシーンを削除して切り詰めていくときの葛藤など、あくまで実際の映画製作の作業内容に立脚したドラマになっててそこから軸がぶれないのが素晴らしい。
 また、本作のメインキャラであるポンポさんに関してはいろいろ思うところがありました。
 本作のキャラデザはわりと落ち着いた感じのものなんですが、ポンポさんだけは例外的にアニメアニメしたデザインになってて、かなり周囲から浮いて見えます。
 そのため、なんだかポンポさんだけがほかのキャラと分離されているように感じたんですよね。
 なんというか本作のポンポさん、主人公であるジーンを導く立場にある妖精か精霊のような現実感の薄い存在に思えてきました。
 そして劇中では、ポンポさんに導かれ、あるいは巻き込まれて、ジーンをはじめとするたくさんの人物が映画製作というとんでもない大博打に関わっていきます。
 本作におけるポンポさんの正体は、映画という媒体の持つ魅力、あるいは魔力の擬人化なんじゃないでしょうか。
 というか、ジーンはもちろんのこと、直接的には映画製作には関わってはいないもののある意味もっとも重要な部分である制作費を捻出するべくとんでもない大博打に打って出た若き銀行員アランなどを見るに、ポンポさん(=映画)に関わることになった人物は多かれ少なかれ人生を狂わされている。
 そういう意味ではポンポさん、まどマギにおけるキュウべぇのポジションのような気がしてきたぞ?
 本作は映画製作のドキュメンタリーであると同時に、ある種のホラーのような気もします。
 

 次、カルト映画好きに大人気の「ゼイリブ」。
 塚口では「まさかこの作品をスクリーンで見られる機会に恵まれようとは」と思う作品が山ほどありますが、まさかゼイリブをスクリーンで見ることができるとは長生きはするもんです。
 今を去ることピー十年前に深夜放送で出くわして衝撃を受けた本作ですが、久しぶりに見るとやっぱ乱闘シーンなっげーーーな……。
 しかし、作り自体はチープさが見えるものの、今のこの状況下で見るとこの「街中にはエイリアンが侵入しており、人々を思考停止させ服従を要求するメッセージが隠されている」という本作の設定が、不気味な実感を伴っています。
 今、この現代に本作のエイリアンが出現したとしたら、さぞ簡単に彼らの目的は遂げられるでしょう。あるいはすでに……。
 また本作、主人公であるネイダが謎のサングラスを見つけることで社会に潜む真実と陰謀を発見するという流れになっていますが、現在の現実世界の方では逆に自分だけが真実を知っていると思い込んでいる人々によってデマが撒き散らされているということに、なんとも皮肉を感じます。
 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする