やはりここ数年、小説を書くことに対するモチベーションが低下しているのをはっきりと実感する。
執筆ペースは目に見えて落ちているし、1日に書ける文章の量もめっきり減ってしまった。(もちろん仕事で書く分は除く)
ネタ帳にしているメモ帳も、ほとんど使わなくなってしまった。
小説に対しても、「書きたい」から「書かなければ」の比重が非常に大きくなっている。
この変化の原因を考えたところ、ひとつの仮説が思い浮かんだ。
こうした変化をもたらしたのは、実は自分の内にある「欲」なんじゃないのか。
ここで言う「欲」とは、もちろん「小説を書きたい」という欲ではなく、「自分以外の優れた作品を書ける人のようになりたい」という欲だ。
この欲がどうしてモチベーションの低下を招くのか。
それは、俺は自分以外の人間なんぞにゃなれねえからだよ!!!!!(全ギレ)
もう最近は他者の作品を素直に楽しむことができやしねえ。
特に同人作品はあとがきに「同人を始めてからもう3年経ちました」とか書いてあってじゃあ同人始めて8年経ってる俺のこのザマはいったいなんなんだよと頭抱えて布団かぶって小刻みに振動してるわけですよ。
そりゃあ他の優れた作品に憧れて、っていうのは行動の発端、点火剤としては有効ではあるけれど、点火剤だけでは決して推進力は得られないし、何より憧れだけをそのまま持っていると行き着く先が「他人の作品のデッドコピー」になってしまう。
守破離でいうところの「破」が必要なんだ。
他者の優れているところは参考にしつつ、しかし同時に自分のテイストを確立していく……常套句ではあるけれど、たやすいことじゃないぞこれは。
この「他人のように~」という欲は、とても重い。
筆先を鈍らせ、惑わせてしまう。
居合でも同じ。
「相手を斬ろう」という欲は、必ず剣先を鈍らせ、迷わせてしまう。
そしてこの種の欲に従うと、正しい方向が斬れなくなる。
そりゃあ、成功してる他人の真似をすれば自分も成功できると思うのも無理ないだろうよ。
でも上で全ギレしてる通り、自分は自分以外の人間になることなんか出来やしないし、そんなことをする必要もない。
たしかに俺は他者に比べれば成長や上達が遅い。
でも、そういう自分と付き合っていかなきゃいけないんだ。
ここ数年何かと自分が書きたいものを見失いがちだったのは、上記のような欲に囚われていたからだと思う。
そうした欲にとらわれずに、素直に筆の向くまま書いていく、というのが現状での目標だな。
そも、「流れに逆らわずに身を任せる」というのは武の基本理念の1つなわけだし。