雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

海岸通りポストカードカフェ

2012-07-28 20:48:06 | 

吉野万里子著"海岸通りポストカードカフェ"を
読みました。
横浜にあるポストカードカフェが舞台です。
店一杯にポストカードが張られています。
店宛に届いた誰かに読んでもらいたいカードです。
来たカードは店に張り出され読んでもらいたい本人には
手渡されることはありません。
女子高の社会の教師五月雨丈司に昔の生徒からカードが
届いていると店から連絡があります。
ポストカードカフェはマスターの瀬尾龍之介、店員の
松井朝陽の二人でやっています。
五月雨宛に来た「もう二度と会えません」というさきと
いう生徒からのカードに何とかしてやりたいと思い
ますが誰なのかわかりません。
五月雨はポストカードカフェの常連となりました。
店にはムッチャンと呼ばれる睦子や耕太郎さんという
常連がいます。
睦子はスーパーに勤めています。
30年以上前に追われるように出て行った夫から
カードが届くのをずっと待っています。
耕太郎は娘の結婚に反対したため娘とずっと疎遠に
なっています。
耕太郎は娘のことを思い続けています。
朝陽や常連たちは娘への思いを書いてポストカードカフェへ
送ったらいいと大量のカードを耕太郎へ押し付けます。
耕太郎はだんだん物事がわからなくなっています。
切手も宛先も書いてない耕太郎からの大量のはがきが
カフェへ届きます。
耕太郎は亡くなりました。

さきが誰だかはだんだんわかってきました。
彼女の身に何が起きたのかもわかりました。

店は建て直すかリホームするかが迫っていますが費用が
ありません。
店を売れという不動産屋があらわれマスターは売ろうと
決心します。
しかしこの話は流れてしまいました。

何十年とカードを待っていた睦子宛にカードが届きます。
店には役割りがあるのだ、これからも続けようという
ところで終わっています。

連作短編集でカードごとの話になるのかなと思って
いましたが長編です。
なかなかいい話でした。
こういうお店どうなんだろう。行きたいと思うかな。
自分もカードを出したり、受け取ったりする立場で店の
人達や常連さん仲良くなればきっと居心地いいでしょう。
でも馴染むまでは居心地悪いかもしれません。