佐伯泰英著"橘花の仇 鎌倉河岸捕物控"を読みました。
数回しか見ませんでしたけど昔NHKのテレビドラマで
見たことがあるのを思い出しました。
中心的な登場人物は4人の若者です。
しほは浪人の娘です。囲碁を仕事にしていた父を
殺されます。
酒問屋"豊島屋"で働いています。
左吉は呉服屋"松阪屋"で働いています。
亮吉は金座金座裏の宗五郎親分の元で手先をしています。
彦四郎は船宿の船頭をしています。
鎌倉河岸で暮しています。
"仇討ち"
しほの父が殺される話から始まります。
殺した御家人はお金をばら撒きお家断絶とはなりましたが
お構いなしとなりました。
平気な顔をして近所に住んで店を構えました。
しほら4人は敵討ちを企てます。
敵討ちは成功します。
宗五郎親分は見逃してくれます。
あだ討ちって結局人殺しです。
殺されたからやり返すってすぐ決心して実行に移せるもの
なんですね。
"逢引き"
集金帰りの手代や番頭を狙って男女のかっぱらいが
横行しています。
彦四郎が送った成蔵が彼らに殺されました。
しほが雨宿りしていた時に男女が話しているのを
聞きました。
その女が成蔵の妻でした。
"神隠し"
若い女性が神隠しに会うのが頻発しています。
しばらくすると戻ってきますが何も覚えていません。
しほの知り合いの娘が行方不明になり殺されました。
しほは母の持っていた絵の道具で絵や似顔絵書きを
始めます。
外国品の偽の反物の販売と若い娘たちとの乱痴気騒ぎを
望む商人達との引き起こした事件でした。
"板の間荒らし"
上品は老女とその連れとの風呂屋での板の間荒らしが
続きます。
しほの母が残した両親の実家らしい書付が出てきます。
政次が仕事で書かれていた地へ行ったおり取引先で
どんな家か聞いてみます。
父母が許婚同士でありながら人を殺し出奔したことを
知ります。
何年も経っていますが彼らが不正の事実を記した書付を
持って逃げたのを追ってしほを襲う危険があります。
"密会船強盗"
しほの家が荒らされます。
しほは宗五郎の家で当分暮らすことになります。
屋台船の客と船頭が殺されます。
しほがおとりとなって犯人を取り押さえます。
しほの叔母やいとこがあらわれます。
"火付泥棒"
火付泥棒が続きます。
探していた父母が手にした書付が母の絵に隠されて
いたのが見つかりました。
吉原通いをしている船をねぐらにしている穴あけやが
火付泥棒の犯人らしいと目星をつけます。
見つかった書付で今も続く不正の証拠として悪徳家老と
商人を糾弾することができました。
4人はしっかりと友情で結ばれています。
それぞれ個性的です。
短編集でありますが全体を通してしほの両親の過去が
わかる構成になっています。
しほは両親のルーツがわかります。
家の再興を許されますが町人として生きる道を選びます。