雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

冬姫

2012-07-23 19:25:49 | 

葉室麟著"冬姫"を読みました。
冬姫は織田信長の娘です。
戦国の時代を気丈に生きた女性です。
あまり知られていない人です。
蒲生忠三郎(のちの氏郷)に嫁ぎました。
どちらも十代半ばの時に結婚しています。
忠三郎は信長に見込まれた人です。
信長の妹のお市が信長を崇拝して結婚しても心は織田に
あるのに対して冬姫は蒲生の人間として生きます。
いろんな女性が登場しています。
女の戦いがあります。
信長の側室の鍋の方には何度も殺されかけます。
母はおらず乳母のいおに育てられます。
ただ一人冬姫が心許せるいおは殺されてしまいます。

冬姫にはもずという下忍だった人と又蔵という身近に
いて冬姫を命がけで守ってくれる家来ができました。
もずは女性として生きていますが実際は男性です。
ずっと信頼できる家来として物語に登場しています。
この二人はお話をおもしろくするための架空の
人物でしょう。

冬姫は信長の正室の帰蝶とも呼ばれる濃姫の娘だと
濃姫が打ち明ける場面があります。
この話はたぶん真実ではないでしょう。

忠三郎と冬姫はずっと心が通い合った夫婦として
過ごしています。
冬姫が30代半ばの時に忠三郎は若くして死んで
しまいます。
蒲生家は子そして孫と継ぎますがどちらも若くして
亡くなり家は断絶してしまいます。

この時代には有名な女性たちがたくさんいます。
お市、お市の娘の三姉妹、濃姫、五徳、鍋の方、築山、
細川ガラシャ等々。
淀の方となる茶々は破滅型の激しい女性です。
本の中で描かれる人たちは描き手によって大きく違っています。
実際はどんな人たちだったのでしょう。

冬姫は心通わせることができた夫を持って幸せな人でした。
かといって彼女は運命に身をゆだねて生きていくという
柔な人ではなく人生に立ち向かって切り開いていく強い人です。

調べたら冬姫は再婚することなく後半は尼として過ごしたと
あります。
尼になるとか出家するとかよく昔の話には出てきますが
どうやって食べていくのだろうといつも不思議に思います。
蒲生家は断絶しています。
後ろ盾になって金銭の面倒を見てくれる人がいればいいの
ですが無い人はどうしたのでしょう。